写真提供:PIXTA/ピクスタ
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写真提供:PIXTA/ピクスタ
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「盗撮」の定義と肖像権侵害について(アサヒカメラ2017年7月号から)
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「盗撮」の定義と肖像権侵害について(アサヒカメラ2017年7月号から)
三平聡史(みひら・さとし)/東京・四谷の「みずほ中央法律事務所」の代表弁護士。本誌記事でもおなじみ(撮影/写真部・長谷川唯)
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三平聡史(みひら・さとし)/東京・四谷の「みずほ中央法律事務所」の代表弁護士。本誌記事でもおなじみ(撮影/写真部・長谷川唯)

 冤罪は「痴漢」だけではない。「盗撮」にも気をつけなければならない事態となっている。例えばスナップ撮影をしていて、相手とトラブルになった場合、どう対処したらいいのだろうか? 『アサヒカメラ2017年7月号』で、撮影に関する法律問題に詳しい三平聡史弁護士に話を聞いた。

カメラを向けただけで条例違反?「盗撮冤罪」から身を守れよりつづく

*  *  *

 まずは迷惑防止条例違反の「盗撮」ではなく、適法に撮影したということを説明し、自分の身分や連絡先も明らかにします。ただし、撮影者本人が「適法だ」と主張しても、相手はにわかに信用できません。そこで、「あなた自身が弁護士や専門家に相談してもらっても構いません。もし裁判で敗訴したらその判決に従います。ただし、撮影した写真は私のものなので、この場で削除に応じることはできません」と伝えます。

 とはいえ、これは教科書的な理想論。このまま相手に伝えても、簡単に納得してもらえないでしょう。ですから、「相手がどんな人で何を要求しているか」「撮影した写真が自分にとってどれだけの価値があるものか」「法律的に違法となる可能性」の三つの兼ね合いで、臨機応変に判断していくしかありません。

 そこで、相手に納得してもらうためにも、いっそのこと撮影画像をこちらから見せるのもありだと思います。

 それでも相手が納得しない場合、撮影者にとって大した写真でなければ、その場で削除しましょう。逆に「どうしてもこの写真は残しておきたい」と思うときは、相手に説明を尽くすのです。この交渉の過程が、結果的に被写体の承諾につながるかもしれません。

 声高に「この写真に違法性はなく、削除を指図される筋合いはない」と主張したところで、相手のさらなる反発を招くだけ。そこで、「私も専門家ではないので、お知り合いの弁護士などに聞いてみてください。それまでこの写真を勝手にSNSにアップしたり、発表したりすることはありません」と謙虚な姿勢で臨んだほうが聞く耳を持ってくれるのではないでしょうか。(構成/吉川明子)

※『アサヒカメラ2017年7月号』より抜粋

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