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『ブラック・アングル』は第2260回で惜しまれつつ誌面から勇退したが、「週刊朝日」には長きにわたって読者に親しまれてきた連載が、まだいくつもある。
本稿執筆時点の最新号(4月14日号)に掲載されている長期連載を、敬称略で列挙する。
東海林さだお『あれも食いたい これも食いたい』(1727回)
山科けいすけ『パパはなんだかわからない』(1407回)
嵐山光三郎『コンセント抜いたか』(1283回)
田原総一朗『ギロン堂』(1197回)
ドン小西『イケてるファッションチェック』(1089回)
内館牧子『暖簾にひじ鉄』(1053回)
さらに読者投稿の『犬ばか猫ばかペットばか』も1514回だし、現在は随時掲載になったものの、今年1月の時点で1120回を数えた『マリコのゲストコレクション』も忘れてはいけない。
連載1千回とは、年数に換算すると約20年である。生まれた赤ちゃんが成人するまでの歳月を超えて、これらの連載は、毎週毎週の誌面を飾りつづけてきたわけだ。
すると、どういうことになるか。
■「愛読」によって育まれるもの
ここからは打ち明け話になるのだが、僕は決して「週刊朝日」の熱心な読者というわけではない。特にこの数年は、何号か空けて手に取って、またしばらく……というありさまだった。
だからこそ、ひさしぶりにページをめくって、おなじみの連載があるとホッとするのだ。すっかりごぶさたしてしまい、気後れしつつカウンター席に座った居酒屋で、品書きの短冊に「いつものやつ」を見つけたようなものだろうか。
「ああ、懐かしい」「この連載、何年前からやってるんだっけ?」「そうそう、このロゴ、このイラストなんだよ」「やっぱり面白いよなあ」……。
なんてことをつぶやいているうちにブランクを忘れる。居酒屋なら、また通おうかな、と思ったりもする。それが「いつものやつ」の底力なのである。まして、ご常連さんにとっては「いつものやつ」こそが、その店の真骨頂──雑誌と読者の関係だって同じだろう。