「コーヒー、タバコ、緑茶が遺伝子を変えてしまう!?」――今話題の遺伝子のトピック「エピジェネティクス」が明らかにした驚きの事実。「遺伝学者×医師」シャロン・モアレムによる極上のノンフィクション『遺伝子は、変えられる。』から、最新遺伝学でわかった「とっておきの食事法」について紹介しよう。

●コーヒー、タバコ、緑茶で「遺伝子スイッチ」はどのように切り替わるのか

 ぼくらの人生は、遺伝子だけ、あるいは環境だけ、といった隔絶された状況で、1個の遺伝子だけによって機能しているわけではないことが、明らかになってきている。ゲノムは、ぼくらの行動や食べるものに常に反応しつづける。トヨタやアップルがJIT(ジャスト・イン・タイム方式)の生産体制を採用しているように、遺伝子も常にオンやオフに切り替えられている。そして、これは遺伝子発現を通して行われる。遺伝子発現とは、言ってみれば、遺伝子が何らかの要因によって誘導されて、ある「製品」をより多く、またはより少なく作るようになることだ。

 人々の暮らしが、興味深い方法で遺伝子に影響を与える例は、コーヒーを飲む喫煙者に見ることができる。あなたは、タバコを吸う人は、なぜあれほど大量のコーヒーを問題なく飲むことができるのだろう、と不思議に思ったことはないだろうか。

 その答えは、遺伝子発現に関係がある。

 ぼくらの身体は、さまざまな毒を分解するのに、同じCYP1A2遺伝子を使っている。タバコにはさまざまな有害成分が含まれているため、遺伝子に行動を起こさせる、とてもうるさい警戒警報を鳴り響かせる。それを考えれば、喫煙がCYP1A2遺伝子を誘導する(つまりオンにする)という事実は意外なことではないだろう。この遺伝子がオンになればなるほど、身体はコーヒーのカフェインを分解しやすくなる。とは言っても、誤解しないでほしい。ぼくは何も、コーヒーをたくさん飲んでも夜眠れるようにするために、タバコを吸いはじめなさい、と言っているわけではない。ぼくが言いたいのは、喫煙によって、身体がカフェインを分解する方法が変わり、遺伝子的にカフェイン代謝がゆっくりだった人も、代謝の速い人に変わってしまう、ということだ。

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