毎年3月23日は「世界気象デー」です。世界気象デーは、1950年(昭和25年)3月23日に世界気象機関条約が発効されたこと記念して、世界気象機関(WMO)によって定められました。
毎年世界気象デーには、キャンペーンテーマが設けられます。今年のキャンペーンテーマは「雲を理解する(Understanding Clouds)」です。私たちが毎日何気なく目にする雲の種類は案外少なく、雲は10種類に分けることができます。
今回は、空を飾る雲についてご紹介します。

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天候が崩れる前触れ?薄く広がる「巻層雲」

巻層雲は薄いベール状の雲です。学名はラテン語で、"Cirrostratus"。「巻き毛」を意味する"Cirrus"と、「広げられたもの」を意味する"Stratus"の2つの単語ををつなげてできています。
巻層雲は氷晶で構成されており、この氷晶が六角柱の形をしている際に、太陽や月の周りに「暈(ハロ)」をつくります。またこの雲は暈だけではなく「幻日」をつくることもあり、幻想的な風景を見ることができます。
巻層雲は前線や低気圧が接近するときに現れるため、天候が崩れる兆候と言われるそうです。しかしこの雲はとても薄く、パッと見ただけでは雲が出ていることになかなか気付かないことがあります。太陽の周りに暈ができていたり、空に幻日が見えた時は折り畳み傘を持って出かけるといいかもしれませんね。

太陽の周囲にできた暈(ハロ)
太陽の周囲にできた暈(ハロ)

羊の群れが空を駆ける?秋空を飾る「高積雲」

高積雲は、小さな雲の塊が空に広がる様子が羊の群れに似ていることから、「ひつじ雲」と呼ばれています。また高積雲によく似た巻積雲は、「鰯雲」や「鱗雲」などの呼び名があり、秋の季語としても有名です。
ひつじ雲や鰯雲は、真っ青な空に浮かぶ陰影のハッキリとした雲です。絵画のように鮮やかな空模様に、清々しい気持ちになる人も多いのではないでしょうか。しかしこれらの雲には、「鰯雲を見た翌日は雨風」「ひつじ雲は雨の前触れ」など、天気が悪くなることを示す言い伝えが多くあります。実際にこれらの雲は、低気圧が近付いた際によく見られる雲のため、かなりの確率で雨が降るそうです。天気が変わりやすい秋には、ひつじ雲や鰯雲を目印にして傘の準備をしてみてはいかがでしょうか。

夕空に浮かぶひつじ雲
夕空に浮かぶひつじ雲

霧なの?雲なの?山々を覆う「層雲」

層雲は、10種類の雲の中で最も低い位置に発生する雲です。この雲は「霧雲」とも呼ばれています。霧雲という呼び名からもわかるように、地上で生活する私たちの近くにも発生することが特徴です。
ここまで低い位置に雲が発生しているのをみると、「雲と霧って、結局何が違うの?」と疑問に思ってしまいますよね。それでは、なにが雲で、なにが霧なのか・・・。その違いは、「地面に接しているかどうか」という点にありました。たとえば、山の頂上を雲が覆ているとします。登山口から頂上を見上げた人にとって、頂上を覆うそれは「雲」です。しかし、頂上に登ってその雲の中にいる人にとっては、「霧」となるのです。

山を覆う層雲
山を覆う層雲

今回は、雲の種類の一部をご紹介しました。
様々な雲の特徴を知ることによって、日常の楽しみの中に、「空を見上げる」という楽しみが増えるのではないでしょうか。

<参考・参照>
・国土交通省, 3月23日は世界気象デー
・理科年表オフィシャルサイト
・奈良地方気象台, 霧ってなんだろう?
・自然人.net, 雲の名前を覚えよう
・岩槻秀明(2015)『あの雲なに? がひと目でわかる! 散歩の雲・空図鑑 (散歩の図鑑シリーズ)』新星出版社