阪神・坂本誠志郎(日刊スポーツ)
阪神・坂本誠志郎(日刊スポーツ)

今年は4年契約の最終年

 気になるのが、今オフの去就だ。2021年オフ、取得した国内FA権を行使せず4年契約を結んだが、今年が最終年となる。年俸1億6000万円からの大幅ダウンは必至で、出場機会を模索した場合、FA権を行使して他球団へ移籍する選択肢が考えられる。

 セ・リーグ他球団のコーチは高い評価を口にする。

「正捕手を固定せず、複数の捕手を起用する球団が多いですが、梅野がいたら心強い。投手を育てるという意味でも価値の高い選手だと思います。今年の数字だけ見ると厳しいかもしれませんが、スタメンで試合に出続けていない難しさがある。34歳はまだ老け込む年ではないですよ。もう一花咲かせられます」

 一方で、別の球団の編成担当は違った見方も。

「良い捕手であることは間違いないですが、FAの場合、金銭・人的補償が必要なBランクなので獲得のハードルが上がってしまう。阪神残留が基本線じゃないですかね」

 阪神は次世代を担う捕手の育成が懸案事項になっている。梅野は34歳、坂本は31歳。プロ5年目の栄枝裕貴(27)は強肩に定評があり、課題の打撃でもファームでは結果を出している。1軍では今季2試合で先発マスクをかぶったのみだが、評価が高い捕手だ。阪神OBの捕手はこう語る。

「坂本、梅野にいつまでも頼っていられない。黄金時代を構築するためには、捕手の育成がポイントになります。自分も現役時代に体感しましたが、ファームと1軍では打者のレベルがまったく違います。1軍の試合に出続けなければ学べないことがたくさんある。次の正捕手候補として栄枝、新人の町田隼乙のほか、今年は外野に挑戦している中川勇斗が考えられます。今後のチーム作りを考えると、梅野をどのように起用するか。功労者ですが、出場機会にこだわって移籍を希望するなら、球団も難しい判断になるでしょう」

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