
首位を快走する阪神。8月15~17日の2位・巨人との3連戦で2勝1敗と勝ち越し、巨人に13ゲームの大差をつけ、リーグ優勝に向けて着実に前進している。(データは8月17日時点)
【写真】今年は正捕手を奪取。「影のMVP」ともいわれるのがこちら
投打ががっちりかみ合った戦いを続け、クリーンアップの森下翔太や佐藤輝明、エース格の才木浩人や村上頌樹らの活躍が際立つが、「陰のMVP」と評価が高いのが、捕手の坂本誠志郎だ。
「打者の狙いを察知して組み立てる配球の能力が非常に高い。阪神は投手陣がリーグトップクラスの陣容ですが、坂本のリードがあってこそ。打撃面の成長も大きく、出塁率が高いですし、下位打線の核になっている。追い込まれてもボール球をきっちり見逃して四球で出塁し、上位につなげるケースを何度も見てきました。チームに不可欠な存在ですよ」(スポーツ紙デスク)
坂本は今季89試合に出場し正捕手の座をつかんだといえるが、対照的に出場機会が激減しているのが梅野隆太郎だ。かつて正捕手を務め、近年は坂本と併用で昨年は95試合に出場したが、今年は40試合出場のみ。才木の登板試合ではバッテリーを組んできたが、7月下旬以降は才木の先発試合でも坂本が先発マスクをかぶっている。少ないチャンスで結果を残したいが、11試合ぶりのスタメン出場となった8月3日のヤクルト戦は1-8と大敗。先発のビーズリーが4回6安打2失点で降板するなどヤクルト打線に15安打を浴びた。それ以来、先発マスクをかぶる機会はまだない。打撃でも打率.189、0本塁打、2打点と結果を出せていない。
ベンチで戦況を見守る機会が多いが、首脳陣やナインの信頼は厚い。生え抜きの捕手で初の1000試合に出場。チームの変革期で成長した選手だ。阪神を取材するスポーツ紙記者が明かす。
「試合に出ても出なくても、チームの勝利のために献身的な姿勢は変わりません。投手とコミュニケーションを積極的に取り、投球の精度を高めるために気づいた点を指摘する。坂本は梅野のことを尊敬していますし、正捕手をつかんだという感覚はないでしょう。梅野は経験豊富な選手ですし、シーズン終盤に向けて必要な時が来ると思います」