共同が契約を結んだグーグルの生成AIジェミニは、グーグル検索でも、検索結果の上に表示されるようになっている。例えば「祇園祭 どんな祭り」とグーグルの検索窓にうちこむと「AIによる概要」となうって、ジェミニが生成した情報が表示される。これがトップ画面を占めてしまうために、その下に表示される検索結果をクリックする人が、激減している。かつてであれば、京都新聞デジタルに飛ぶ検索結果を人々はクリックしたが、それがこのジェミニによる概要によって、極端に減っているということになる。
新聞社は、まずそのニュースサイトに人々が訪れることで、1pvあたり、0.1円といったごくわずかな広告料収入が発生するが、狙いは、そうして訪れた人を、有料版の購読に誘い込むことだ。
京都新聞社は、有料版の積極的な拡大を、2022年から紙面、販売店等で行っているが、検索から有料版の読者に移行する人は少なくないという。現在、京都新聞は地方紙では、もっとも大きい1万3000の有料契約者数を獲得している。
グーグルのジェミニは、ジェミニのアプリでチャットを始めれば、そもそも検索結果など表示されないから、検索結果による流入が減っていくという事態は、新聞社にとっては深刻な脅威だ。
つまり、共同のグーグルとの契約は、加盟社である地方紙の利害と対立している面がある。
共同通信社の重要事項を決める権限は加盟社にある
共同通信社は、株式会社ではなく、一般社団法人である。だからNHKのように予算を組んで消化していく。2025年の場合、402億円の予算のうちの約7割にあたる284億7000万円は、50社以上の地方紙・ブロック紙等が部数に応じて出している。これを「社費」と言っている。
そしてその根拠法は、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」になる。株式会社と違うのは、一般社団法人の社員は、この予算の「社費」を出している加盟社という法人格になる。共同通信の記者は、「社員」ではなく、「職員」ということになる。