2軍戦では最初の2試合は完璧に近い内容だったが、その次は3.1回を投げて7四死球、自責点3と「らしい」姿をひけらかした。
「良くも悪くも、これが“藤浪晋太郎”(笑)。1軍でどんな投球を見せるか、楽しみにしている人は多い。歩んできた野球人生にもストーリー性があり、アンチも含めて気になる選手。“スター性”を持っている、“客を呼べる選手”です」(スポーツマネージメント会社担当者)
大阪桐蔭高では春夏連覇を成し遂げ、阪神では1年目から3年連続二桁勝利を挙げた。その後は制球に苦しみ、多くの打者に死球を当てて乱闘騒ぎの張本人になることもあった。コロナ禍における食事会参加で同病感染、メジャー挑戦も「成功」とは呼べない結果を残しての帰国だった。
「努力家で真面目な優等生」と言われながら、「山あり、谷あり」の野球人生を送っている。世間からの逆風も受け続けてきた。ここへ来て“勝ち組”になりつつあるのは、「野球の神様からのプレゼント」のようにも思える。
待望の日本復帰後の初登板は8月17日の中日戦(バンテリンD)。「(藤浪の)抜け球対策」として相手が9人の左打者を並べる中、先発で5回86球を投げ、5安打1四球1失点と試合を作った。DeNAの救世主になりそうな雰囲気を漂わせ、次回登板へ期待を抱かせる。
「1試合だけでの判断は難しいが、力をセーブしながら投げつつも球威がある。腕を多少、下げ気味で振ることで球が動いているのもプラスに働いており、変化球も切れていた。当然ですが、今後、右打者と対戦した時にどうなるかが鍵」(在京球団編成担当者)
この日は左打者との対戦のみに終わったが、良い時の「藤浪らしさ」を発揮。加えて、米国で身につけた「球を動かす」技術も見せ、今後に期待を抱かせた。何よりもマウンド上での表情が明るいのも良かった。
今季セ・リーグは阪神の独走状態だが、それ以外のいずれの球団にもクライマックスシリーズ進出の可能性がある。藤浪のパフォーマンス次第では、DeNAの2年連続日本一も見えてくる。終盤戦の熾烈な戦いへ向け、また1人興味深い選手が増えたのは楽しみでしかない。
(文・スポーツライター 田中雄也)
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