楽天証券 国内株式事業部 部長の伊藤 愛さん(撮影・和仁貢介/朝日新聞出版写真映像部)
楽天証券 国内株式事業部 部長の伊藤 愛さん(撮影・和仁貢介/朝日新聞出版写真映像部)

 ところで、「1株当たり配当÷株価×100」で計算する配当利回りは、何%以上なら「高い」といえるのだろうか。

 米国トランプ大統領の「関税ショック」で一時急落したこともあり、日経平均株価225銘柄の平均予想配当利回りは2.49%。東証プライム上場の1634銘柄では2.96%になっている(利回りは2025年4月9日現在、プライム上場銘柄数は3月31日現在)。

 ちなみに「予想配当利回り」とは現在進行中の決算期の期末に企業が支払う予定(まだ払われていない)の配当が現状の株価に対して何%になるかを示したもの。

 配当利回りには、すでに終了した決算期、つまり過去の配当が株価の何%だったかを示す「実績配当利回り」もある。

 投資家にとって大切なのは過去ではなく「将来、どれだけの配当をもらえるか」。そのため、高配当株に投資する際は予想配当利回りに注目しよう。

「配当が育つ」とは?

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「日経平均株価や東証プライム全体の平均予想配当利回りが2%台であることを考えると、現状は予想配当利回りが3%を超えれば高配当株と呼んでいいのではないでしょうか」(楽天証券国内株式事業部部長/伊藤愛さん)

「ただし、配当利回りが3%以下でも『ダメ』とは限りません。

たとえば毎年のように増配している銘柄なら、自分の買値に対する利回りは上がっていきます。

業績が拡大し、増配を続ける企業は『配当も育つ』効果に期待できるわけです。

利益が増えて増配を繰り返す企業なら、株価も上昇基調を維持する可能性が高いです」

「株価とともに配当が育つ」具体例を上の表に示した。

 買ったときの株価が1000円で1株当たりの配当が20円だと配当利回りは2%。100株購入すると年間2000円の配当がもらえる。

 この銘柄が毎年業績が伸びて増配を繰り返し、5年後に株価1500円、配当30円になったとする。

 株価1500円・配当30円なら配当利回りは2%のままだが、当初の買値1000円に対する配当利回りは3%に上がる。

 100株を保有したままなら、5万円の値上がり益(含み益)に加え、当初より1000円多い3000円の年間配当が受け取れる。これが長期保有を続けて「株価も配当も育つ」効果だ。

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