写真・図版(2枚目)| 関根勤もデビュー当初は「気持ち悪がられていた」 道が開けた萩本欽一からの“金言” 芸歴50年超

100万円があったら5万円だけ見せる

――仕事で、大切にしていることは?

 僕はモノマネもしますが、うまい人はいっぱいいて、同じ人をやったら勝てない。だからかぶらないようにしました。千葉真一さん、輪島功一さん、青木功さん、ジャイアント馬場さん、大滝秀治さん、C・W・ニコルさん、水森亜土さんとか、当時は誰もやっていなかった。

 でもね、こういった方々のモノマネは、実は中学生ぐらいのときからやっていたの。だから、「人とかぶらないために」というよりは、そもそも「他の人とは違った人が好き」なのかもしれない。

 子どもの頃、兄と日活の映画を見に行ったときは、兄が好きなのは、石原裕次郎さんといった王道だったんですけど、僕は宍戸錠さんや田中邦衛さんとか、個性や味のある人が好きだったんです。

――関根さんのお笑いは、人を傷つけないような配慮のある優しさを感じます。

 それは心がけていますね。特に「笑っていいとも!」の(見た目が有名人にそっくりな家族や友人を自慢する)「身内自慢コンテスト」で進行役をやっていたとき。そのそっくりさんの推薦者の印象を「ひと言コメント」していたんです。一般の人にとってテレビは一生に一回出るか出ないかのもの。傷つけないように、でも笑いを取れるように、工夫してやっていました。ちょっと性格が暗そうな人に、「暗いですね」と言うのは失礼ですから、「詩集を2冊目書き終えました」とかにして少しにおわす(笑)。

――萩本欽一さんは事務所の大先輩で、師匠筋にあたります。どんなことを教わりました?

 僕は、「欽どこ」に出演し始めの頃は、「カマキリ拳法の殺し屋」役のイメージが強かったので、お客さんからのウケが悪かった。とにかく結果を残さなきゃいけないと焦って、オーバーアクトになってしまっていたんですね。そしたら萩本さんに、「お前は100万円を持っていたら、100万円をかざすような芸をしている。100万円があったら5万円だけ見せて、ポケットの中には95万円ありますよ、というふうにやりなさい」と言われました。

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