
「デマが拡散され、積み重なって主人は亡くなった」
5月になって郷原氏が竹内氏の家を訪れ、妻と面会した。
「知事選は昨年11月だったが、今も誹謗中傷が続いている。声をあげると止むかもしれない。しかしまた誹謗中傷が大きくなる可能性もあり、どうすればいいのか……」
遺影の前で困惑する妻に、郷原氏はこう伝えたという。
「私が力になります。警察、検察に訴えるという形でやってみましょう」
そして、刑事告訴に至った。
記者は竹内氏の妻に何度も話を聞いたが、こう訴えていた。
「立花氏がYouTubeやSNSで主人が逮捕などと、とんでもない誹謗中傷をしていることは知っていました。本当にひどいと思っていました。そういうデマがSNSで拡散され、積み重なって主人は亡くなったのだと思います。主人が亡くなってからはもう何をしていいかもわからず、日が過ぎていくばかりでした。そこに、私も主人も大学時代から慕っていた石川さんが来て下さり、郷原先生をご紹介いただいた。直接、お会いしてお話をうかがい、遺族として告訴することを決めました。立花氏をはじめSNSの誹謗中傷は私も恐ろしい。けど、このままなら、同じことが繰り返される。主人のように、SNSでたたかれて亡くなるような人が出てしまうかもしれない。告訴することでどんな反響があるのか怖さもあります。険しい道ですが、主人のことを思い決断しました」
兵庫県政では今も斎藤知事と反斎藤の「分断」の構図が続いている。郷原氏はこう語っていた。
「昨年11月の知事選挙以降、斎藤派と反斎藤派による分断対立が続いている。この告訴は、兵庫県政の対立構図とは一切無関係です。夫の尊厳を守りたいというご遺族の純粋な心情に尽きるものです」
今後の捜査を見守りたい。
(AERA編集部・今西憲之)
こちらの記事もおすすめ 「家族は震えている。辞めるしかない」 亡くなった竹内英明・前兵庫県議を襲ったいわれなき誹謗中傷