
全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2025年8月11日-8月18日合併号にはロイヤルホールディングス 海外事業本部 アメリカ開業準備室 室長 藤本清吾さんが登場した。
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大学在学中に生活費を稼ぐために飲食店でアルバイトを始めた。日本伝統の食文化を勉強していたこともあり、次第に学業そっちのけで、飲食の仕事にのめり込んでいった。
近所にできたロイヤルホストを訪れた際、クラムチャウダーとピザの味に感動。就職活動中だったので面接を受けてみたところ、経営基本理念に感銘を受け入社を決意する。すぐに店鋪に配属され、仕事は現場で鍛え上げられた。
店長になってからは1年ごとに店舗を異動。当時は24時間営業で、夜間のアルバイトの補充ができないことも多く、体を張って働き続けた。
1991年に支配人として新店舗のオープンに携わる。教えることが好きなのと、現場で培ったノウハウを生かそうと、オペレーションマニュアルの改訂チームに所属し、全国展開した。
ロイヤルグループは、54年に新婚旅行中のマリリン・モンローが来店したフレンチレストラン「ロイヤル中洲本店(現・花の木)」や、「シズラー」「天丼てんや」「シェーキーズ」など、国内外で674店舗以上を展開。専門店や空港キャフェテリアも運営する。
店舗の設計は、在米のデザイナーに依頼しており、資材はアメリカから日本に輸出していた。その業務を担当するため、98年からロサンゼルスに駐在。店舗で扱う食材や備品の輸出業務も行った。ネットも普及していない時代で、サンプル一つ探すだけでも手探り状態で走り回って情報収集した。
2018年には「てんや」を海外展開するための準備を開始。その間に、新型コロナウイルスが発生した。飲食業界にとって最も過酷な数年間が続いた。
厳冬を乗り越えた今、最後の目標がある。
「アメリカではカリフォルニアロールが日本の鮨だと思われている。握り鮨は高いか、鮨と呼べないものもある。海外でお世話になった現地の人々に、安くて本物の江戸前鮨を広めたい」と、3社合同企画でロサンゼルスに近いハンティントンビーチに鮨レストランを展開する。1店舗目の開業は25年秋頃の予定だ。(ライター・米澤伸子)
※AERA 2025年8月11日-8月18日合併号
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