
朝日新聞社は、松下洸平さん(38)と見上愛さん(24)が記者を演じるショートドラマの続編を公開。撮影期間中に2人へのインタビューが実現した。AERA 2025年8月4日号より。
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新たな撮影が行われた6月初旬。夏の到来を思わせる、汗ばむような暑さの中、松下洸平さんは朝日新聞東京本社(東京都中央区)の中庭を駆けていた。松下さんが演じる入社14年目の記者、江崎大輔が取材に向かうシーンだ。
江崎は大量のデータを分析することで社会課題を見つけ出し、調査報道につなげるデータジャーナリズムを担う役どころ。釣り好きでもある江崎は、海や川でのレジャー事故発生場所を可視化できないかと頭を悩ませる。なぜ水難事故が起きているのかわかりづらい場所もある。江崎はデータを深掘りすべく取材に飛び出す。情熱にあふれ、使命感もにじみ出る表情が印象的だ。
「セリフにも出てくる『データの向こうにあるもの』。それをどう探すかは、自分の足と観察力にかかっているのだと実感しました。決して机の上だけではわからない、現場で見えてくるものを広い視野を持って取材する。江崎はそれをデータや数字という形で報道していく。記者という職業は、事故や困難に見舞われることのない世界をつくろうと、先を見据えて取材を積み重ねる、ものすごく地道で大変な仕事だと感じました」
2月の撮影時と同様、この日も社内の編集局フロアで撮影が行われた。パソコン画面をにらみながら頭をかいたり、たたいたりとデータの分析を試行錯誤する江崎。松下さんは江崎を演じるうえでの“裏話”を教えてくれた。

「僕の役のモデルとなった記者の方が、撮影現場にずっと来てくださっていました。僕は画面をどう見ていいかもわからないから、記者の方が江崎の椅子に座って準備してくれるんですが、その姿勢とかひじの置き方とかをこっそり観察していました。話し方も含めて、ちょっとだけ真似させてもらっています」
繊細な問題に向き合う
見上愛さんが演じる春田あやめは、労働力の減少が進む自治体への取材を重ねる入社5年目の若手記者。これまでと同じ暮らしが徐々に成り立たなくなっていく。そんな悩みを抱える自治体での取材は、春田を悩ませる。繊細な問題をどう伝えるべきかと、真摯に向き合っていく。
「新聞記者は“泥臭さ”を持つことも必要なお仕事だと感じました。一つの記事に対する取材は、私たちが想像する以上に、その何倍もの記事になっていない取材がある。社会の課題をともに悩み、取材を重ねて、記事を模索する様子が、すごく人間味があって、これが信用の源なんだなと思いました」
思い悩む春田と、燃える江崎。第2話ではこの二人が一瞬、邂逅する。この先、どんなふうに二人の思いが交錯するのか、想像を掻き立てるシーンだ。
(編集部・秦正理)

※AERA 2025年8月4日号より抜粋
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