
レジェンドから気鋭まで、日本勢も多彩に登場
日本勢も充実。フジロック初登場の山下達郎、「サムデイ」などの代表曲を披露した佐野元春などのレジェンドから、2021年の活動休止から今年、6年ぶりに復活したSuchmos、世界的評価を得ている青葉市子、NHK連続テレビ小説「あんぱん」主題歌「賜物」で話題のRADWIMPSまでバラエティに富んだラインナップが実現した。
観客の顔ぶれにも変化、多様性広がる会場風景
多様性を増した出演陣と呼応するように、観客の幅も広がった。ここ数年よりも10代~20代の若いオーディエンスや小さいお子さんを連れた人が目立ち、アジア圏、北米、ヨーロッパ圏を含む外国人の観客を目にすることも明らかに増えた。会場内での移動中やフードエリアでいろいろな国の言葉が飛び交うのも興味深く、そこでも以前とは違うフジロックの雰囲気を楽しむことができた。苗場の森のなかで世界中のミュージシャンたちが奏でる音を浴びているうちに、“共生とはこういう感覚のことかも”と感じたことも記しておきたい。
それでも残る課題――トイレと混雑問題
もちろん“これはどうにかならないかな”と思ったこともある。まずは長年の課題であるトイレ。夕方以降はどうしても混み合ってしまい、1割でいいから増やしてくれないかな……と思ってしまうこともしばしば。単にビールを控えればいいだけの話かもしれないが、もう少しトイレがあれば快適度は全然違うはず。
チケットが売り切れた土曜日の人混みもすごかった。特に山下達郎の演奏中は通路にまで人が溢れ、まったく身動きできない状態に。それでも強引に突破しようとする人もいて、梨泰院の事故が頭をよぎる場面もあった。基本的に観客の自主性に任せ、“自分のことは自分で”がフジロックの基本姿勢であり、筆者もそこは賛同しているのだが、“人が集まり過ぎて身動き取れない”という状況はやはり危ないので、ある程度、運営がコントロールしてほしい気がする。(達郎の演奏中、「運営! どうにかして!」と叫んでる女性もいました)ぜひ、前向きな検討をお願いします。