沖縄伝統の「かりゆしウェア」をお召しの天皇陛下のシャツは、描かれたやんばるの固有種「ノグチゲラ」が可愛いと話題に。この「月桃物語」ブランドの担当者によれば、3年ほど前に販売された品であったために、「うちのお父さんと同じかりゆし!」と購入者からの驚きの声も聞かれたという=2025年6月5日、那覇市、JMPA
沖縄伝統の「かりゆしウェア」をお召しの天皇陛下のシャツは、描かれたやんばるの固有種「ノグチゲラ」が可愛いと話題に。この「月桃物語」ブランドの担当者によれば、3年ほど前に販売された品であったために、「うちのお父さんと同じかりゆし!」と購入者からの驚きの声も聞かれたという=2025年6月5日、那覇市、JMPA
雅子さまがお召しだった「テッポウユリ柄」のかりゆしシャツ。特殊な糸や生地の織り、縫製などほどんどの工程を日本で行う。また、月桃の有益な成分を生地に付加するなど、服作りの情熱が詰まった「かりゆしウェア」。9900円となるべく手に取りやすい価格で販売しているが、原材料の高騰や沖縄県内で縫製工が不足するなどとりまく現状は、楽ではない=「月桃物語」ショップの公式ウェブサイトより
雅子さまがお召しだった「テッポウユリ柄」のかりゆしシャツ。特殊な糸や生地の織り、縫製などほどんどの工程を日本で行う。また、月桃の有益な成分を生地に付加するなど、服作りの情熱が詰まった「かりゆしウェア」。9900円となるべく手に取りやすい価格で販売しているが、原材料の高騰や沖縄県内で縫製工が不足するなどとりまく現状は、楽ではない=「月桃物語」ショップの公式ウェブサイトより

「かりゆし」は、沖縄県内のみならずいろいろな地域のひとたちに愛用され、いまやデザインも豊富だ。

「かりゆしウェア」の定義は2つ。1 沖縄県産であること。2 沖縄らしいデザインであること、だ。

 基準をクリアした県内の製品にたいして、沖縄県衣類縫製品工業組合が証明となる「かりゆしウェア」と名の入ったタグをつける。

 そのなかでも「月桃物語」は、丁寧な作りと特別な製法で知られるブランドだ。

 いま人気のある「かりゆしウェア」は、さまざまな会社によって生産、販売されている。一方で、コストの問題から海外で織った生地を沖縄で縫製することで、基準をクリアしている品も少なくないという。

 そうしたなかで、「月桃物語」のブランドは、特殊な糸の生産や生地の織り、縫製といった工程のほとんどを日本国内で行っている。

宮内庁の公式インスタグラムのストーリーズ機能の投稿された天皇ご一家の沖縄訪問の写真。ポップにコラージュされたデザインが新鮮=宮内庁公式インスタグラムより
宮内庁の公式インスタグラムのストーリーズ機能の投稿された天皇ご一家の沖縄訪問の写真。ポップにコラージュされたデザインが新鮮=宮内庁公式インスタグラムより

 しかし、人件費や生産コストが年々上がる中で、値段を押さえながら質を維持するのは決して楽ではないと、大坪さんは話す。

「沖縄県内で販売する『かりゆしウェア』の多くは定価を7~8000円を超えない。『月桃物語』のように、1万円を超える商品は高級ラインになってしまう。そのため、服の内側に縫い目があたらないよう丁寧に縫製するなど、値段に納得してもらえる作りを心掛けています」

 また、沖縄での縫製が条件であるため、「縫製工」の人手不足も深刻だと、いう。

 インバウンド需要もあり、県内の就職先は、大型のホテルや飲食店といったリゾート施設に人気が集まってしまう。

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