

「かりゆし」は、沖縄県内のみならずいろいろな地域のひとたちに愛用され、いまやデザインも豊富だ。
「かりゆしウェア」の定義は2つ。1 沖縄県産であること。2 沖縄らしいデザインであること、だ。
基準をクリアした県内の製品にたいして、沖縄県衣類縫製品工業組合が証明となる「かりゆしウェア」と名の入ったタグをつける。
そのなかでも「月桃物語」は、丁寧な作りと特別な製法で知られるブランドだ。
いま人気のある「かりゆしウェア」は、さまざまな会社によって生産、販売されている。一方で、コストの問題から海外で織った生地を沖縄で縫製することで、基準をクリアしている品も少なくないという。
そうしたなかで、「月桃物語」のブランドは、特殊な糸の生産や生地の織り、縫製といった工程のほとんどを日本国内で行っている。

しかし、人件費や生産コストが年々上がる中で、値段を押さえながら質を維持するのは決して楽ではないと、大坪さんは話す。
「沖縄県内で販売する『かりゆしウェア』の多くは定価を7~8000円を超えない。『月桃物語』のように、1万円を超える商品は高級ラインになってしまう。そのため、服の内側に縫い目があたらないよう丁寧に縫製するなど、値段に納得してもらえる作りを心掛けています」
また、沖縄での縫製が条件であるため、「縫製工」の人手不足も深刻だと、いう。
インバウンド需要もあり、県内の就職先は、大型のホテルや飲食店といったリゾート施設に人気が集まってしまう。