リンレイ技術研究所 自動車製品グループ 課長:藤井謙二郎(ふじい・けんじろう)/1969年生まれ。広島県出身。大学卒業後、92年入社。家庭用製品開発を1年間担当。その後は技術研究所で自動車用製品の開発一筋で現在に至る。「ウルトラハードクリーナー ホイール&タイヤ用」などヒット商品を多数開発(撮影/写真映像部・上田泰世)
リンレイ技術研究所 自動車製品グループ 課長:藤井謙二郎(ふじい・けんじろう)/1969年生まれ。広島県出身。大学卒業後、92年入社。家庭用製品開発を1年間担当。その後は技術研究所で自動車用製品の開発一筋で現在に至る。「ウルトラハードクリーナー ホイール&タイヤ用」などヒット商品を多数開発(撮影/写真映像部・上田泰世)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA2025年7月28日号にはリンレイ 技術研究所 自動車製品グループ 課長 藤井謙二郎さんが登場した。

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 1944年創業のリンレイは、床用樹脂ワックス「オール」、超強力洗剤「ウルトラハードクリーナー」など、家庭・自動車・業務用の洗剤等を開発・製造販売するメーカー。

 92年に入社し、2年目から現在に至るまで、自動車用製品の開発を担当。2021年に発売した自動車用ウルトラハードシリーズ3種類(ホイール&タイヤ用、水アカ・ウロコ・ウォータースポット用、タイヤコーティング)をはじめ、シリーズ累計では330万本を売り上げ、その後もヒット製品を生み出す。

 大好きな車の塗装関係の開発を仕事にしたいと、大学では化学を専攻。希望が叶った後は研究開発一筋。自分が消費者の立場で使った時に、満足できる完成度の高い商品になっているか、厳しく追求することを信念としてきた。

 愛車を手間暇かけて洗浄する時代から、使いやすさと時短を重視する市場に合わせ、薄い膜でツヤを維持しつつも、塗装を保護する製品も開発した。思い描くのは簡単だが、理想の製品が完成するまでにかかる期間は1年から5年。開発が行き詰まる中で重要視したのは、社員という知的財産。

「色々な市場に向けて製品開発をしています。社員一人一人が知見・技術を持つ情報の宝庫。そのスペシャリストから意見をもらうことが成功のカギなんです」

 独りよがりの製品になってしまわないために、今も大事にしていることだ。

 カーシェアリングの需要が増え、車のメンテナンスにかける時間も少なくなる中、趣味で大切に乗る人に使ってもらいたいと、作ったのが主力製品となった「ウルトラハードWコーティング」だ。ガラスとボディーという、素材が全然違う部分を、一つの製品で十分な効果が出せる気軽さと使いやすさがヒットにつながった。

 完成した商品は自分の車でも使い、改善点がないか日々チェックを怠らない。30年で培った技術の伝承も始めている。

「車を長くキレイに保ちたい人に、簡単にキレイになって使いやすいと言ってほしいです」

(ライター・米澤伸子)

AERA 2025年7月28日号

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