
AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:私の悩みは、承認欲求が強いことです。自己肯定感の低さから、他人から褒められたり頼られたりすることで自分の存在価値を実感します。逆に、周りの人が褒められていると嫉妬して自己嫌悪に陥ります。恋愛でもつい相手の好意を試すようなことをしてしまいます。どうすれば、他人からの承認を気にせず、自分のことを肯定できるようになりますか。(女性/会社員/27歳/ふたご座)
A:「不安定さ」って幸せにたどり着くまでの原料でもあります。自分が何者で、どんなパートナーと一緒になるのか、どこに居場所を持つのか。ゴールにたどり着くまで多大な労力が必要で、急な山道を登り続けないといけないときもある。それを駆り立てる力が不安定さなんだと思うんです。
年を取ると、必然的に自分の居場所にたどり着きます。「いろいろやってきたけどここが限界だし、ある程度の幸せでもあるよな」みたいなところに落ち着くというか。そうすると前に進もうとする気力が減って、冬場のこたつみたいに動けなくなってくる。
不安定さは悪者にされがちですが、人が生きていくのを手助けしてくれる力でもあると改めて感じました。
そして僕の勘なんですが、相談者さんは承認欲求が強いとか自己肯定感が低いから試し行動などをしているのではなくて、未知の展開を知りたくてやっているんじゃないかと感じました。
相手に揺さぶりをかけると、普段なかなか体験できないコミュニケーションがそこに待っています。泣いたり激しい憎悪を抱いたりすることって日常ではないから、好奇心からそういう展開を望んでいる可能性があるのかも。
だからアドバイスとしては、自ら未知の世界を体験するカリキュラムを組んでみてほしいです。例えば全く興味がない趣味に挑戦してみる。友達が山登りが趣味だったらトレーニングして一緒についていくとか。こんな世界があるんだ、と未知に対する好奇心が満たされると、対人関係も落ち着いていく気がしました。
SNSやスマホのおかげで、現代社会はアドベンチャーが少なくなりました。どこかに行く前に、口コミで行った人の感想を隅から隅まで読むことができてしまいます。でもやっぱり行ってみないとわからないし、やってみないとわからない。僕自身も「とりあえず行ってみよう」を大事にして、自分の人生にアドベンチャーを復活させることを意識しています。
ふたご座は、普通のコミュニケーションは予測がついてしまって、現実の世界で勝負することに飽きてしまう面があるようです。そして未知のものに対する満足感が強い。予測できる世界にだけいると暇になってやけどをしたくなるから、ぜひ積極的に未知の世界に触れる機会を作っていってください。
※AERA 2025年7月21日号
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