7月9日、自らの発言を撤回する記者会見を開いた鶴保氏
7月9日、自らの発言を撤回する記者会見を開いた鶴保氏

「まあ、そこまで考えてません」

 さらに騒動を大きくしたのが、翌9日の鶴保氏の謝罪会見だ。

「言葉足らずであった。陳謝の上、撤回させていただきたい」

 と頭を下げた鶴保氏だったが、記者から、

「議員辞職や離党される方もいるが」

 と責任の取り方を問われると、薄ら笑いをしながら、こう答えた。

「まあ、そこまで考えてません。現状ですよ」

 この映像がテレビやネットで流れると、「反省がない」「謝罪になってない」とさらに炎上したのだ。

次の「ドン」と有力視されていた鶴保氏

 和歌山県では二階俊博・元自民党幹事長の存在感が大きく、長く「保守王国」「二階王国」と呼ばれていた。しかし、昨年の裏金事件の責任を取る形で二階俊博氏は政界引退。二階派も解散に追い込まれた。参院選候補の伸康氏は俊博氏の三男だが、昨年の衆院選では落選し議員経験はない。また、自民党安倍派の実力者だった世耕弘成衆院議員も、裏金事件の責任を追及され、離党した。

「ドン不在となっていた和歌山県政で、有力視されていたのが大臣経験もある鶴保氏でした。ただ、鶴保氏自身もそれを意識していたのか、『次は俺だ』と言わんばかりの偉ぶる態度が出ていましたね」(前出・A氏)

 また、鶴保氏を古くから知る石川知裕元衆院議員はこう話す。

「彼なら、ああいう半笑いをするでしょうね。『何を聞いているんだ』って記者を小馬鹿にしたような感じに見えました」

 石川氏は1996年から小沢一郎衆院議員の自宅に書生として住み込んだが、2カ月ほど遅れてやってきたのが、鶴保氏だったという。

「私は学生で、鶴保氏は東京大学法学部卒業。当時、小沢さんと同じ党だった二階俊博さんの紹介で書生になったと記憶しています。東大卒業なので、まわりがみんなバカに見えてしまうタイプ。何かあっても、真正面から物事を見ない、皮肉屋さん。なぜ書生をしていたかといえば、『小沢一郎秘書』の肩書が次の選挙にほしかったからという政治的理由ですよ。小沢氏の政治などを勉強しようなんて気持ちは、さらさらありませんでした。だから、1カ月ほどしかいなかった。反省がなさそうな半笑いは、鶴保氏の性格がそのまま出たんじゃないですか」

次のページ 表に出てきた世耕氏