望月氏の応援に立った世耕氏
望月氏の応援に立った世耕氏

鶴保氏の失言後、表に出てきた世耕氏

 昨年10月の衆院選和歌山2区では、無所属となった世耕氏と二階俊博氏の後継として出馬した伸康氏が争い、世耕氏が圧勝した。今回の参院選和歌山選挙区でも、自民党が伸康氏を公認すると、世耕氏は自民党の公認争いに敗れて無所属で出た元有田市長の望月良男氏を支援し、「紀州戦争」が再燃している。

 メディア各社の情勢調査では、望月氏と伸康氏はほぼ互角のデッドヒート。望月氏の支援者はこう語る。

「鶴保氏の失言は和歌山県人としては最低で、恥ずかしい。ただ、選挙戦では大歓迎。これで波に乗れそうだ」

 これまで世耕氏は望月氏を裏で応援しつつも、参院選が始まってからオープンな場には出ていなかった。しかし、鶴保氏の失言直後に行われた7月9日の望月氏の演説会に世耕氏が登壇。陣営は盛り上がったという。

「なぜ世耕氏が来たのか? そりゃ鶴保氏の失言で、勝負の時だと判断したんでしょう」(望月氏の支援者)

 一方、自民党幹部は苦々しげに言う。

「参院選では1人区で苦戦している。和歌山は絶対とるぞと石破首相の遊説予定が組まれた。その時に鶴保氏がとんでもない暴言をして、二階氏は苦しいところに追い込まれた。和歌山だけじゃない、鶴保氏の失言は参院選全体にも大きな影響を与えている。『コメ買ったことない』発言の江藤拓農林水産相が大臣を更迭されたように、鶴保氏もすぐに処分すべきではないかとの声しきりだ。このままなら、自民党は参院選に大敗して政権を失いかねない」

 鶴保氏の失言が、政権交代のダメ押しとなるかもしれない。

(AERA編集部・今西憲之)

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 和歌山選挙区(改選数1)ではほかに、日本維新の会の浦平美博氏、共産党の前久氏、参政党の林元政子氏、NHK党の本間奈々氏、無所属の末吉亜矢氏が立候補している。

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