とりわけ注意が必要なのは、過剰な福利厚生を競って提供することだろう。洗濯物の無料集荷や日中のペットの世話が目当てのような人物は、チームに悪影響を及ぼす。基本をカバーしたうえで、ほかの会社では不可能なことを約束するだけでじゅうぶんだ。すばらしい仲間とともに唯一無二の問題に取り組む機会を提供するだけで。
物置小屋や地下室、アパートで、明日の巨大IT企業を夢見る若者たちがコンピュータに向かっている昔ながらの光景に見覚えがあるだろう。彼らは顔色が悪く、栄養失調のようにも見えるが、驚くほど集中している。フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト、グーグル、アップルはこのようにして始まった。いずれも創業当初はカルト的な空気を漂わせ、創業者は宗教的な献身、信念、固執が最終的な成功をもたらしたと語っている。
「スタートアップのエネルギーは、社会運動やカルトに参加しているかのようだ」
ケビン・シストロム(インスタグラム創業者)
「会社を始めたときは『誰がカルトに入りたいと思うのか? そんな恐ろしいものに』と思っていた。しかしスタートアップの場合、まさにそれがつくりたいものになる。社員が心の底から夢中になれる会社をつくりたい」
トニー・シェイ(ザッポス元CEO)
「一種のカルトのようなものだ。エネルギーも、仲間意識も、使命感も、目的も」
エヴァン・ウィリアムズ(ツイッター共同創業者)
10社以上のスタートアップを立ち上げて成功させた経験と、何百人もの偉大な創業者との会話から、すばらしい企業は進化のプロセスを経ると確信している。その進化とは、(不愉快に感じる人もいるかもしれないが)カルトから始まる。
法則 カルト的精神を培え
カルト的な精神や、スタッフのカルト的な献身は、スタートアップの初期段階では驚くほどの推進力になる。それによって文化のカラーが決まり、新たなビジネスを立ち上げるのに必要な情熱が生み出される。だが、会社が大きくなるにつれて、長期的な目標を達成するために、さらに成長する必要がある。カルトは持続可能ではない。
[文化が強ければ、新しい人はその文化に染まる。文化が弱ければ、その文化が新しい人に染まる。]
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