ビジネスでは、とくに本当に大きなビジネスを立ち上げようとする場合、肝心なのは、いろいろなやり方を学ぶことではなく、それを任せられる人を見つけることだ。ビジネスは人がすべてだ。
企業というのは、自覚の有無にかかわらず、単なる人材派遣会社にすぎない。CEOや創業者は、①最高の人材を採用し、②その才能を最大限に引き出す文化と引き合わせる能力によってのみ評価される。つまり、個々の才能の合計以上の成果を上げる、1+1=3となるような環境をつくることが求められるのだ。
仮に私が16歳のリチャード・ブランソンを雇い、彼の才能を余すところなく引き出す文化をつくり出していたら、いまごろ200億ドルの会社に成長していただろう。
とりわけ経験の浅い創業者は、自身の重要性を必要以上に誇張する傾向がある。自分の才能、アイデア、スキルによって結果が決まると信じてしまうのだ。
実際には、自分が集めたグループの創造力、アイデア、実行力の総量で目的地が決まる。すばらしいアイデア、自分がつくるもの、マーケティング、製品、戦略――全ては自分が雇う人の脳から生まれる。
最も優先すべきは、人材派遣会社としての役割だ。それを理解している創業者は、世界を変えるような会社を築くだろう。
「私のような人間にとって、最も大事な仕事は採用だと考えている。採用については大いに悩んだ。そして、本当に才能のある人材を見つけることで多くの成功を収めてきた。B級やC級のプレーヤーで妥協せず、もっぱらA級のプレーヤーに的を絞る。賢い人を雇って指示を出しても意味がない。指示を出してもらうために賢い人を雇うのだ」
(スティーブ・ジョブズ)
法則 方法よりも人
何かをするときに、私たちは「どうすればできるのか?」と考えるように教えられてきた。だが、一流の創業者たちは「誰に任せるのが最適か?」と考える。
[自尊心は自分でやると主張する。潜在能力は任せるよう主張する。]
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