
――他にも、古い慣習がありますか。
中でも、性行為の強要に繋がっているのが「旦那さん制度」です。私は舞妓を続けるのはもう無理だと思い、置屋のお母さんに「辞めたい」と伝えると、違約金として3千万円を請求されました。とても払えないと言うと、代わりに提示されたのが「旦那さん制度」でした。「パトロン」という名目でお客が置屋にお金を払い、身請けされる仕組みです。金額はピンキリで、300万~6千万円ほどで身請けされると聞きました。
――それは「人身売買」で、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(児童買春)では。
そうです。私には3人の旦那さん候補がいたそうですが、その一人が3千万円という支度金を提示していたと聞いています。また、別の候補の一人からは「僕は処女じゃないと嫌なんだ。旦那さんになったら一緒に旅行しようよ」と言われ、ゾッとしました。
「現代の奴隷」
――どうやって辞めることができたのですか?
辞めさせられるように仕向けました。反抗的な態度を取って、「こんな子はここに置いておけない」って思われるようにしました。最後は、置屋のお母さんに向かって怒鳴りました。それは絶対にしてはいけない行為だったので、それでようやく辞められました。
――未成年に対する深夜労働や性的接待、さらには人身売買のような実態は、国際的には「奴隷労働」に該当します。
私は、舞妓が置かれた状況は「現代の奴隷」だと感じています。舞妓はただかわいいだけの「人形」で、人権もなく、人間として扱われてないと思いました。
――現在もそうした慣習は残っているのですか?
京都には祇園や先斗町など5つの花街がありますが、そのうち3つの花街で「お風呂入り」は継続されていると聞いています。門限は、今は夜の10時に短縮され未成年の飲酒は減っていますが、深夜の接待や飲酒もあります。「旦那さん制度」も続いているといいます。
