東尾修
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 西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修さんは、監督の決断とその反応について語る。

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 プロ野球が開幕して10試合を超えてくると、うまくスタートを切れたチームとそうでないチームが徐々に出てくる。ただ、どのチームもやることは変わらない。まずは目の前の試合に勝つこと、そして中長期的に見れば、どこに穴ができそうなのか。その穴を誰なら埋められるのか。そのための手段として補強、配置転換、試合の中での采配がある。その場ですぐに手を打つかは各球団の事情もあるが、「いつかは……」と放置しておくと、取り返しのつかない穴ができてしまう。

 13日に埼玉・大宮であった西武―ロッテ戦のラジオの解説に行った。私が生まれ育った和歌山の箕島高校の後輩でもある吉井理人監督、そして私が西武監督時代に主力に成長してくれた松井稼頭央監督の新監督対決ということもあって、私も久々にワクワクしていた。

 西武は開幕2連敗、ロッテも開幕3連敗スタートだった。長いシーズンを考えれば、負けている原因がしっかりとわかっており、どう対策をとるべきかが見えていれば、全く問題はない。ただ、新監督はそうは思えないだろう。早い段階で白星を積み重ね、5割前後までいられるようになって、初めて日常を取り戻すことができたと思う。試合前に2人の表情を見て、とても自然体だった。

 12日の巨人阪神戦で、阪神の村上頌樹投手が七回まで84球のパーフェクト投球だった。岡田彰布監督は八回の村上の打席で代打を送り、継投を決断した。この采配についてさまざまな意見があるだろう。1-0の場面。2番手以降の救援陣にも重圧がかかる。結果的に同点に追いつかれたが、延長十回で勝利。私は勝つことで全て前向きに捉えられると考える。

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東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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