小泉進次郎農水相(左)と石破茂首相
小泉進次郎農水相(左)と石破茂首相
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 支持率低迷にあえぐ石破茂は、人気者の小泉進次郎を従え、炎天下の政治決戦に臨む。2人の「政治の師(オヤジ)」は参院選が転機となった。田中角栄と小泉純一郎、それぞれの栄枯盛衰……。政権の二枚看板は分厚い歴史の壁に立ち向かう。ノンフィクション作家の常井健一氏が描く「巳年の参院選」の魔力。

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 大波乱の通常国会が幕を閉じた。こんどは、私たちが各党に通信簿をつける番だ。

 思えば、石破政権の朝令暮改に振り回されるような150日間だった。

 企業・団体献金の制度見直しは、いつの間にやら結論を先送り。選択的夫婦別姓制度の導入も党に丸投げして、うやむやのまま見送られた。

 一方、唐突に打ち出した高額療養費の引き上げ案は、当事者団体から不興を買うなり引っ込めた。そうかと思えば、先送りしたはずの年金制度改革案を会期末に持ち出す。基礎年金の底上げ策を削除した法案が「あんこのないあんぱん」と批判を浴びるや、そそくさと修正に転じた。

 遅きに失した政府備蓄米の放出は、首相いわく、友党・公明党からの指摘が「きっかけ」なのだとか。春に断念した現金給付も、結局やる気だ。

 選挙が近づくにつれ、世間の顔色をうかがう。でも、国民に寄り添うようで、そうじゃない。したたかに争点化を避け、与党内に転がる内紛の火種をもみ消していく。

 果たして、「石破らしさ」は消え失せ、いったい誰を守りたい政権なのか、わからなくなった。昨年の衆院選で私たちが生んだ31年ぶりのハング・パーラメントは、「熟議の国会」とはほど遠いものになった。

 すべて「巳年」のせいだ。

 筆者はそうとらえている。

 巳年は東京都議選と参院選が12年に1度必ず重なる。だからこうなるものと、昔から相場が決まっている。

「巳年の政局は、すべて参院選挙から逆算して決まる」

 これは元首相の橋本龍太郎が、今年と同じ巳年の2001年頭に残した“予言”である。

 たしかに、各党とも夏の参院選で頭がいっぱいだ。たとえば、地方区は、衆院選の小選挙区より格段に広い。つまり、風に流されやすい無党派層の掘り起こしよりも、月日をかけて、あらゆる大組織と連携し、支持基盤を固めていく。衆院選が個人競技ならば、参院選は団体競技なのだ。

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