写真・図版(1枚目)| 【「林修の今知りたいでしょ!」柳沢正史教授きょう出演】世界的睡眠研究者が勧める「睡眠の質を上げる」方法
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 気象庁は7月1日、2025年6月の月平均気温が、これまでの記録だった20年を上回り、統計を開始した1898年以降、最も高くなったと発表した。基準値からの偏差は+2.34℃。寝苦しさのせいで、睡眠不足に陥っているという人も多いのではないか。

 睡眠研究の世界的権威で、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)の機構長を務める柳沢正史教授は、監修した『今さら聞けない 睡眠の超基本』の中で、そもそも日本人の多くが睡眠不足なのにそれに気づいていない、と指摘している。自分のパフォーマンスや健康に害を及ぼすことがわかっていながらやめられないのが依存症だが、睡眠不足は「覚醒に対する依存症」で、だから自覚することすらできないのだ、と。

 そもそも睡眠不足なうえに、これから数カ月にわたって続くであろう寝苦しい夜。私たちはどうすれば、睡眠不足を解消し、自分を守ることができるのか。柳沢教授は、若い人や働く世代に試してほしいことがあるという。それは、数日間続けて「普段より30分早く寝る」ことだ。

 この世代は、ほとんどの人が睡眠負債を抱えているにもかかわらず、それを自覚できていない。睡眠中は意識がなく、自分の睡眠状態を把握できないことが自覚できない原因の一つだ。「睡眠の質がよければ、時間は短くても大丈夫」と言う人や、「自分はショートスリーパーだ」と言う人がいるが、柳沢教授によれば、量は質ではカバーできないし、真のショートスリーパーは数千人に1人。実際には、十分な睡眠がとれていない状態で、本来のパフォーマンスが発揮されていないだけではなく、健康にも悪影響を及ぼしている可能性がある。

「起きている間にやりたいことをしてから、残りの時間で眠る」と考えがちだが、睡眠時間は“住宅ローン”のように毎晩支払わなければならない必要経費と考えるべきものだ。良質な睡眠はまず「量」が重要。中高生〜現役世代では、睡眠時間を最優先で確保して、「30分早く寝る」ことからはじめて、体調の変化を実感してほしい。

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