
「逆にすごくポップで前向きな印象を持ったんですよね。言葉にすることで前向きになれる感じがあって。我慢して隠すのもしんどいじゃないですか。その上で『なんで不機嫌になったんだろう?』って考えることが大事なんだと思うんです。理由が見えてくると、意外と小さなことで解決できることも多くて。自分の気持ちや行動をちょっと変えるだけで、不機嫌の芽を摘めることってあるんですよね。だから私にとってはむしろ前向きになれるきっかけになる言葉だったんです」
自身も書きながら自分の感情を見つけてきたという。
「書いているうちに『自分ってこう思っていたんだ』とか、『こういうことを言いたかったんだな』って気づくことが多くて、調べながらどんどん理解が深まったりもして。だから私にとっては、これが一番の更年期のセラピーでした。何度も書き直して、何度も読み返して、泣きながら書くこともあって、まさにデトックスでしたね」
渡辺さんは同じ事務所の野宮真貴さんと松本孝美さんと『大人の女史会』というプロジェクトを立ち上げ、更年期や老いについて発信してきた。まだまだ女性の心身の悩みをオープンに語りづらい世の中で、渡辺さんがおおらかに語る言葉に勇気をもらう人もきっと多いはずだ。
「自分の書いたことを読んで、『これって当たり前じゃなかったんだ』とか、『このモヤモヤ、そういうことだったのかも』って気づいてくれる人がいたらいいなって思います。自分なりに気づいて解消していくことで、もっと元気に過ごせると思うんです。実際、私たちの世代って、すごく元気な人が多いと思うし、そういう前向きな力をもっと出していけたらいいなって、思っています」
(ライター・濱野奈美子)
※AERA 2025年7月7日号
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