
女性たちは、いま、何を考え、感じ、何と向き合っているのか――。31歳の桃奈さんは16歳のころから、過食嘔吐と向き合ってきた。
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16歳からの「過食嘔吐」に変化
桃奈さん(31歳/仮名)は、16歳のころから「食べて吐く」という過食嘔吐をやめられずにいた。だが、ここ数カ月間で変化が訪れたという。
「これまでもずっと治したいと思っていたけど、後ろ髪を引かれるというか、手放すのも怖いみたいな。何日か過食しないでいると、人が変わったみたいに落ち着かなくなってしまって。でも、ようやく、できることはやろうって気持ちになってきているところなんですよね」
いまは、自助グループへ通ったり、専門書を読んだりして摂食障害の克服に取り組んでいる。
「特別なきっかけがあったわけではないんですよ。たぶん、長い時間をかけてじわじわと。どう考えても世界は広いし、見たことのない景色があるし、豊かになる方法はあるはずだから。できるだけ早くそれに出合いたいなって」
彼女は現在、住民のほとんどが退去した中部地方の老朽化したマンションで、彼氏と2人暮らしをしている。インタビューはその部屋で行った。
気にしてきたことは「ルッキズム」
柔らかな光が差し込む室内には、ほとんどが貰い物だというレトロな家具と、たくさんの観葉植物が並んでいる。桃奈さんは地味な部屋着をまとい、沈んだ表情を浮かべていたが、不思議とその姿が部屋の雰囲気とよく馴染み、とてもお洒落に見えた。
「最近、ルッキズムという言葉を知って、自分が気にしてきたことってそれじゃないかって気づいたんですよ。自分の顔面がすごくキモくて、もう嫌だと思う日と、逆に大丈夫な日もあって、とにかく外見のことで頭がいっぱい。『人を見た目で判断したくない』と思っていたけど、実は自分が一番見た目のことを気にしている。そこを本当に変えていきたいですね」
小中といじめられ、バイト先で無視されて
そう話す桃奈さんだが、私が見たところ、とても整った顔立ちをしている。自信のなさはどこから来るのだろう。
「小学校でいじめられて、中学校でもちょっといじめられて、バイト先でも無視されて、ところどころで自信をはぎ取られてきた感じがする。小学生のときのいじめっ子は、細くて可愛い女の子だったんです。『綺麗だったらなんでも許されるんだな』って、そのときに容姿と結びつけてしまったのかもしれない」