「レディコミ化」する深夜ドラマ枠
なお、「彼女がそれも愛と呼ぶなら」のように、昨今の深夜ドラマ枠ではなぜか攻めた設定やタイトルの女性向け作品が急増している。前クールの足立梨花主演「マイ・ワンナイト・ルール」(テレビ東京系)や風間俊介とMEGUMIがダブル主演の「それでも俺は、妻としたい」(テレビ大阪・BSテレ東系)、今クールの山崎紘菜主演「ジョフウ ~女性に××××って必要ですか?」(テレビ東京系)や松井愛莉主演「子宮恋愛」(読売テレビ・日本テレビ系)、浅香航大主演「三人夫婦」(TBS系)などがそれにあたるだろう。
さながらレディースコミックのタイトルが並んでいるかのようなこの現象について、前出の北村氏はこう話す。
「2023年にはGP帯でセックスレスをテーマにしたフジテレビ系ドラマ『あなたがしてくれなくても』が放送されたほか、24年には夫の婚外恋愛を描いたドラマ『1122 いいふうふ』もプライムビデオで配信されました。深夜帯なら過激な題材でも扱える、むしろ深夜帯であることを生かしてGP帯では放送できないようなドラマを積極的に制作するという傾向はより強くなっている気がします。多様性について考える世間の土壌が、少しずつではあるものの醸成されつつある時代背景も関係しているのでしょうが、シンプルに恋愛ドラマ界隈において『少々尖ったテーマじゃないと視聴者の興味をひけない』という事情もあるのだと思います」
GP帯ドラマの「限界」
これまでも複数恋愛を描くテレビドラマはあったが、「彼女がそれも愛と呼ぶなら」ほど真っ向から描く作品はなかなか珍しい。前出の北村氏が言う。
「近年だとフジテレビ系ドラマ『婚活1000本ノック』でFANTASTICSの八木勇征さんが複数恋愛を公表している男性キャラクターを演じましたが、GP帯の限界というか、どこかコミカルに描かれすぎている面は否めませんでした。複数恋愛というテーマをより深く描くなら、やはり深夜帯じゃないと厳しいのかな、と。そういう意味では、今後も深夜帯のドラマは、恋愛ものに限らず『ニッチな層に響く』ようなテーマがより増えてくるのかもしれません」
実にあらゆる役を演じてきた栗山にとっても、新境地といえる「彼女がそれも愛と呼ぶなら」。ほかにも攻めたドラマが多い中で、視聴者にどこまで受け入れられるのか注目したい。
(小林保子)
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