ああ、いやな質問が来たよ……と思いながら私はできるだけ短く答えた。私にも、わからないからだ。

 日本では4B運動は起きていません。理由はわかりません。

 ただ、意図せずに結果的に4Bになっている女性が増えています。

 現実は厳しいです。

 毎日のように女性が男性に殺されるニュースが流れます。

 毎日のように酷い性被害のニュースが流れます。

 この国は、女と男の戦争は起きていませんが、女はずっと侵略されているということかもしれません。

 ……と、私はかなり曖昧に答えてしまったのだけれど、さて、皆さんは「韓国と同じように女性に厳しい日本で、なぜ4B運動は起きないのか?」という問いに、どう答えますか? ちなみに、アメリカではトランプ大統領再選後、4Bをしよう! という

 女性たちの声がじわじわ高まっているという。先鋭化し、世界の先頭を走る韓国のフェミニズムは、女の心を武装させた。彼女たちの戦いをみる限り、男の無条件降伏しか解決はないようだが、女を大事にしない社会から綻びはじめるのであれば、血を流さないこの戦争には意味があるということなのか。

 私は日本では4B運動は起きていない、とは言った。でも心理的な4Bは既にずっと前から起きているのだろう。

 子供を産めない、というより、産みたくない、という女性が増えている。結婚できない、というより、結婚しなくてもいい、という女性も増えている。この国では女と男の戦争は起きていなくても、既に女は侵略され、強いストレスを感じているのだ。国による上から目線少子化対策がことごとく失敗するのは、そもそも女が侵略状態から解放されていない証なのかもしれない。

 先鋭化した韓国のフェミニズムが私たちに見せる女の現実は、重たい。

こちらの記事もおすすめ デリヘルはコロナ給付金「対象外」 最高裁判決の補足・個別意見を読んで驚いたワケ 北原みのり
[AERA最新号はこちら]