首脳会談を前に握手する石破茂首相(左)と韓国の李在明大統領=2025年6月17日午後3時30分、カナダ西部カナナスキス
首脳会談を前に握手する石破茂首相(左)と韓国の李在明大統領=2025年6月17日午後3時30分、カナダ西部カナナスキス

 ……のだが、そのときの韓国側の拒絶は相当だった。絶対にやめてくれ、どんな目に遭うかわからない、恐ろしすぎる、絶対に絶対に使わないほうがいい! 意図しようがしまいが、偶然そんな仕草をしてしまっただけであっても、職を奪われるほどの大変な事態になるのだから、と彼女たちは真剣な顔で言ってきたのだ。実際に、この指の仕草をした女性が職場で解雇されるような事態も韓国では起きていた。

 そのときの強い拒絶の空気から、韓国社会の空気がピリピリと痛いほどに伝わった。女性の戦いも本気だが、男たちの抵抗や怒りも並じゃないのだ。起きているのは、ほとんど、女と男の戦争だ。

 6月、韓国には新しい大統領が誕生した。民主的な姿勢を打ち出す大統領として期待され、さぁこれで女と男の戦いは停戦モードになるのか? と思っていたのだが、実際は微妙なところらしい。

 というのも、今の大統領はまず、女性差別問題を扱ってきた「女性家族省」の名前を「性平等家族省」に変更することを打ち出したという。性差別に包括的に向き合う意図らしいが、「女性」の名前が消されることに危機感を感じる人も少なくない。前大統領の弾劾に貢献し、今回の大統領選にも大きな影響を与えたのは、若い女性たちである。それにもかかわらず、イ・ジェミョン新大統領は女性の貢献を軽視しているとも言われている。

 前大統領は、女性家族省を逆差別だとして撤廃をちらつかせてきたが、リベラルな政治家は、フェミニズムは女性だけのものじゃないでしょ、みんなのものでしょ、と女性を軽視するのだと韓国から来たジャーナリストは嘆いていた。

 ……で、日本はどうなのか? と彼女は私に聞くのである。日本も韓国と同じように女性に厳しい社会だ。というか韓国よりもジェンダーギャップ指数は低く、女性政治家の比率も韓国より低い。そして韓国と同じように子供を産む女性が減っている。そんな日本に、なぜ4B運動は起きないのか? 

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