「(批判や誹謗中傷は)まあ好きなところです、僕としては」(藤川監督)と、昨年10月14日の監督就任会見で周囲の声は気にならないことを公言。数々の修羅場をくぐってきた“炎のストッパー”だけに、心が折れることはなさそうだ。

「現役時代は自身がしっかり投げれば結果に繋がった。しかし監督采配は必ずしも正解とならないのが難しい部分。試行錯誤の最中でストレスも相当なのだろう。時折、感情的になる部分が心配ではある」(阪神OB)

 4月20日の広島戦(甲子園)、坂本誠志郎への頭部死球を巡り激高してベンチを飛び出した。捕手へクレームを付けるだけでなく、相手ベンチへ向かって「来い」という仕草で向かっていこうとした。

 また5月24日の中日戦(バンテリン)の試合後には、中日・井上一樹監督が投球の判定に抗議したことを批判。「それだったら自分たちも抗議しにいきますよ」と公の場で発言した。

「一生懸命なので頭に血が上ってしまうこともある。まあ、今は“ご祝儀的”に周囲も大目に見てくれる。しかし今後はそうもいかなくなるし、感情的になった部分を相手に突かれることもある。全てが監督としての経験」(阪神OB)

 指導、選手起用、采配、試合中の振る舞い、取材対応…。監督として覚えなければならないことはヤマほどある中、同時に結果も求められる。監督というのは本当に大変な仕事である。

「セ・リーグ他球団がだらしないのもあるが、交流戦7連敗しても首位にいる。これからは同一リーグとの対戦に戻るので地に足をつけて戦える。阪神の選手層は厚いので、監督と選手が持ちつ持たれつでチーム力を上げて欲しい」(阪神OB)

 ここまで236得点、防御率2.06、61盗塁はリーグトップ、かたや30失策はリーグ最小と走攻守のバランスが取れており、今後セ・リーグ球団相手に大型連敗は考えにくい。指揮官が迷った時には、選手個々のパフォーマンスでカバーできる戦力が強みだ。

 評論家時代は理論的な解説が持ち味で、「野球知識の多さ」は周知されている。ここから先は、現場での経験を積むことで勝利に直結する采配も増えるはず。「名監督を選手やチームが作り上げる」ことも可能なだけに、今後どうなるのかも楽しみだ。

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