
交流戦の戦いはペナントレースの左右を大きく左右する。昨年の西武は長いトンネルから抜け出せなかった。交流戦を前に借金15と低迷し、当時の松井稼頭央監督が休養。GMだった渡辺久信氏が監督代行として指揮をふるったが、交流戦最下位の4勝14敗とセ・リーグ相手に大きく負け越し、復調のきっかけをつかめなかった。
だが、今年は違う。西口文也監督が就任して守り勝つ野球を徹底し、救援陣を整備。打線もリードオフマンの西川愛也、新外国人のネビン、ドラフト2位の渡部聖弥の活躍で得点力が上がり、首位争いを繰り広げている。交流戦1カード目のヤクルト戦で2勝1敗と勝ち越し、貯金を5に増やし、リーグ首位の日本ハムを1.5ゲーム差で追い上げる(6月5日終了時)。
西武の一番の強みは投手力だ。今井達也、隅田知一郎と完投能力の高い左右エースに加え、渡邉勇太朗、髙橋光成、左肘の故障から復帰した武内夏暉もスタミナ十分。救援陣も甲斐野央、山田陽翔、ウィンゲンターと安定感のあるセットアッパーがそろい、守護神の平良海馬につなぐ勝利の方程式が確立している。
セ・リーグ球団のスコアラーは「西武は先発陣が強力なので、先制点を許すとうちは苦しくなる。昨年も戦っていて厄介なチームでしたし、今年は勢いに乗っているのでさらに手強くなるでしょう」と警戒を強める。交流戦で好成績を残せば、ペナントレースの主役に躍り出ることも、もはや非現実的な話ではない。
Aクラスの年にポスティング認めてきた西武
気が早いが、西武がこのまま優勝争いを続けた場合、今オフにはポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦が焦点になってくる可能性が高い。西武では高橋光成(28)と平良海馬(25)がポスティングシステムを使ったメジャー挑戦の意向を明らかにしている。
ポスティングシステムは球団が認めないと利用できず、球団によって考え方が違う。西武では過去に、森慎二、松坂大輔、牧田和久、菊池雄星(エンゼルス)と4人の投手がポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦している。過去の4人は積み上げた実績があるのはもちろんだが、いずれもチームがAクラスになった年のオフに、ポスティング利用が認められている。