牛窪恵さん/うしくぼ・めぐみ  世代・トレンド評論家。立教大学大学院(MBA)客員教授。著書に『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)ほか多数(photo 本人提供)
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 働き続ける人が増え、政府も企業も両立支援策を強化するなか、減り続ける「専業主婦(夫)」。家事・育児を担うことは大切な役割であるはずが、社会の変化もあって、その存在が見えづらくなっている。それは「専業主婦(夫)」という呼称に原因があるのでは? 世代・トレンド評論家の牛窪恵さんに話を聞いた。

【写真】「専業主婦」という呼称、そろそろやめませんか?

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 女性の7割以上が仕事を持つようになった現代は、多くの家庭で、PTA活動やマンションの理事会への参加、地域活動等に夫婦で役割分担して参加しています。

 若い世代に目をやると、子づくりでさえ、排卵日アプリでシェアしてスケジューリング。夫(妻)には、出張を入れないように日程調整を依頼するなど、スケジューリング。ある意味、家庭がまるで会社組織のようになっているのです。

 そんな中でマネジャー的な存在がいわゆる「専業主婦(夫)」。家事を一大プロジェクトだとすれば、プロジェクトマネジャー、管理者という表現も近いかもしれません。

一生、専業主婦で居続けるのは厳しい

 ただ、「専業主婦」という言葉は意味があいまいです。主婦がこなす役割の範囲はとても広いですし、何をもって「専業」なのかがわかりません。さらに、昔のように「一生、専業主婦で居続ける」というのは、日本の経済状況や人手不足からも厳しいですし、それを望む女性も減っています。働いている人も、ずっとフルタイムで働き続けるばかりではないのと同じように、専業主婦もずっと専業主婦かというと、そんなことはありません。

 同じ一人の専業主婦でも、その時々で役割や立場は変わります。「〇〇ちゃんのママ」が中心の時もあれば、家事やインテリアに凝ったり、ボランティア活動に励んだりする時期もある。それを統一した呼称で呼ぶのは無理があります。

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