自ら“おバカ”やヒール役を演じる頭の良さ

 バラエティー番組を手掛ける放送作家は一茂さんのタレントとしての魅力をこう話す。

「一茂さんは、バラエティー番組で自分を鍛えてくれた明石家さんまさんへの感謝をよく口にしていますが、その影響もあってか出演番組では高いプロ意識が見て取れます。ハレーションを起こしたり、批判を浴びたりすることを恐れず、常に攻めの姿勢を見せて、歯に衣(きぬ)着せぬ発言で番組を盛り上げています。過激な発言をしても下品にならないところは出自や育ちの良さのたまものでしょう。天然っぽく見えますが、きちんと自分のニーズを理解していて、自ら“おバカ”やヒール役を演じることもできる頭の良さや器用さもある。世間的にはそこまで評価されていませんが、実はトーク力にもかなり優れていて、“二世タレント”ではあるものの自ら進んで父親や家族のことをネタにすることはありません。家族ネタに頼らずともタレントとして十分にやっていけるだけの実力があることでしょう」

 プロ野球も、芸能界も親の七光だけで通用する世界ではない。一茂さんが再評価され始めたのも必然だったのかもしれない。

(立花茂)

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