
アメリカでは6月20日、日本では8月1日から公開されるディズニー&ピクサー新作「星つなぎのエリオ」(原題「Elio」)。主人公のエリオとグロードンとの出会いを通して、ありのままの自分を受け入れることなどをテーマに描かれる感動の物語だというが、これに登場するキャラクター「オーヴァ」役のボイスキャストとして、USオリジナル版と日本語吹き替え版の双方で渡辺を起用したことが発表された。
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ディズニー&ピクサー作品のUSオリジナル版で日本人が声優を務めるのは、ピクサー・アニメーション・スタジオのクリエーター以外では初めてであり、加えて日本版声優も同時に務めるのも日本人初。オファーを受けた際の渡辺は「そんなことある……!?」とびっくりしたそうで、日本版の収録では自分が話すUSオリジナル版のセリフを聞きながら行ったため「不思議」な感覚だったとコメントしている。
渡辺の起用について、お笑いライターの新越谷ノリヲ氏は次のように語る。
「今回の『エリオ』へのキャスティングは文句なく快挙と言っていいでしょうね。直美さんの演じるオーヴァという役にどれくらいの出番があるのか今のところ不明ですが、天下のディズニー&ピクサーからお声がかかったというのは、間違いなくアメリカでも存在感を発揮し始めているということでしょう。日本の映画市場は世界的に見て上位ですから、マーケティング的な意味も含めてのキャスティングではありますが、渡米後の仕事としてひとつの到達点だと思います」
BBCの選ぶ100人の女性に選出
渡辺は2021年に本拠地をニューヨークへ移し、ポッドキャスト番組「Naomi Takes America」を配信。渡米時は英語もままならない状態だったというが、23年には全米7都市でトークライブを開催、24年10月にはニューヨークで自身初となるスタンダップコメディー公演を行い、チケットは即日完売したという。
さらに同年12月、イギリスの公共放送・BBCの選ぶ「100人の女性」に選出された渡辺は、同月にロサンゼルスで開催された「アンフォゲッタブル・ガラ」で“アジアのためにグローバルな視点で新たな道を切り開く存在”と評価され「グローバル・グラウンドブレーカー賞」を受賞。そして今年4月には、米大手マネジメント会社と契約したことを発表した。前出の新越谷氏が話す。
「直美さんを成功に導いたのは、その特異なキャラクターはもちろんSNSでのセルフブランディングでしょう。ハイセンスなファッションやレディー・ガガといった世界的スターと共演する姿もあれば、無防備なすっぴんを平気で披露したりする。そのギャップが多くのファンの共感を呼んでいるのだと思います。
加えて、吉本の海外戦略が当たったことも大きい。まだ海外での実績がない時期から直美さんを『海外で活躍する女性タレント』というイメージで打ち出して、国内の仕事を取るというスキームを生み出しました。実際、直美さんは英語力という面でまだまだ発展途上ですし、アメリカでは“駆け出し”のひとりに過ぎませんが、現地でカラーブラインドキャスティング(人種や肌の色に関係ないキャスティング)の動きが進んでいることも、彼女の背中を押す要素でしょうね」