レジェンド番組の復活の先にある狙いは?(写真はイメージ/GettyImages)
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 日本テレビで5月24~27日に「大進化!レジェンド番組祭り」と題した企画が行われ、かつての人気番組をリニューアルして復活させる特番が放送された。ここで蘇ったのは『マジカル頭脳パワー!!』『THE夜もヒッパレ』『特報!歌の大辞テン』『特上!天声慎吾』など、いずれも多くの視聴者の心に残っている伝説的な番組ばかりだ。

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 1990年代から00年代にかけて日本テレビの黄金時代を支えた人気番組が、長い時を経て再び地上波に戻ってくるというのは画期的なことだった。なぜ、今の時期にこのような企画が行われることになったのか、その背景や狙いについて考えてみたい。

 第一に、かつての人気番組を復活させることで、リアルタイムで見ていた世代には「懐かしさ」を、若い世代には「新鮮さ」をもたらせるということだ。当時の視聴者層にとっては郷愁を誘う存在であり、今の若い世代にとっては「知らないからこそ新鮮」という二重の価値を持つ。両方の世代を効率よく狙い撃ちできるのは大きなメリットである。

大失敗はないというリスク回避も

 しかも、一度ヒットしているという実績があるため、大失敗する可能性が低いという利点もある。ヒット番組は、視聴者を魅了する何らかの優れた点を備えていたからこそ、それだけの支持を得てきたわけだ。リメイク番組では、企画そのものの方向性が根本的に間違っているということがなく、保険がかかっている状態になる。番組作りをビジネスとして考えた場合、余分なリスクを回避できるのは好都合である。

 ほかのテレビ局でも、TBSの『ザ・イロモネア』、テレビ朝日の『内村プロデュース』など、過去の人気番組が復活して話題になるケースがどんどん出てきている。各局とも、リスクの高い新規番組よりも、固定ファン層がいて、ある程度の数字が見込める復活特番を優先しているのは明らかだ。

 第二に、過去のヒット番組はテレビ局にとってただの古き良き思い出ではなく、「資産」そのものであるということだ。大昔のテレビ業界では、番組は一度放送されたら終わりの使い捨てという意識が強かったのだが、近年では配信の環境が整ってきたことでコンテンツビジネスとしての意識が高まり、過去の番組をどうやって有効に活用していくか、ということが重要な課題になっている。

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