
桶井道さんはなぜETFが好きなのだろう。
「分配金が欲しいからです。老後は個別株の配当金やETFの分配金を生活費にする予定です。
今は分配金を使ってショッピングのようにETFや個別株に再投資をしています。
早期退職していることもあり、分配金の入金の日は給料日のような気持ちになります」
桶井道さんは、勝手に振り込まれるところが好きなのだという。
「分配金や配当金は定期的に、自動的に振り込まれるのでラクです。価格が下がっても、分配金があると心の支えになります。
これまで増やしたお金を老後に使うとき、ちょうど暴落中だと取り崩しにくいと思うんです。
その点、分配金や配当金は自動入金なので」
運用効率だけにフォーカスすれば、ETFよりも投資信託のほうが優れていることは、桶井道さんも承知している。それを前提としたうえで、次のように述べる。
「私は投資を『効率=数字』だけでは捉えていません。つらくない投資、楽しい投資をすることこそ、長く継続していくうえで大切だと思っています。
通常の投資信託を、必要なときに必要なだけ取り崩せる方もいらっしゃると思いますので、そういう方はETFでなくても全然問題ないかと」
分配金をもらうのがうれしい、新しい銘柄を買うのが好き。生粋の「投資好き」であった。
地球儀投資
ちなみに、2025年2月下旬から3月初旬にかけて米国株が大きく下げた局面でも、桶井道さんは資産を増やした。
2月末時点の総資産額1億8451万円、3月19日(取材日)の総資産額1億8788万円。S&P500だけでなく、多国籍の個別株やETFに「地球儀投資」をしているらしい。
新NISAではS&P500とならんで全世界株式も人気だが、彼の言う地球儀投資は「桶井道式オルカン」のようなものだろう。
取材・文/中島晶子(AERA編集部)、大西洋平
編集/綾小路麗香、伊藤忍
『AERA Money 2025夏号』から抜粋
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