4月26日のフランシスコ教皇(当時)の葬儀には、トランプ氏ら160を超える国・地域の首脳たちに加え、信者ら40万人超が参列した(写真:ロイター/アフロ)

注目の的となったのは

 ウォーク(woke)とは、トランプ米大統領と支持者らが、リベラル派を非難する際に使う言葉だ。「反アメリカ的」「ポリティカリー・コレクト(政治的に正義)を主張する過激リベラル」「鼻持ちならないエリート」を揶揄している。その言葉を新教皇が使ったとしてトランプ派は、ソーシャルメディアでたちまちレオ14世を「ウォーク教皇」と呼び、教皇として認めないという投稿まである。

 しかし、カナダの通信社・カナディアン・プレスや複数のファクトチェック機関は前出の「ウォーク発言」は、フェイクニュースだと発表。AIを使って生成されており、レオ14世は就任前後にこうした発言は一切していないという。ソーシャルメディアで目にした時期によっては、就任ミサでのスピーチでの発言のように感じる人もいるだろうが、もちろん日本のカトリック中央協議会のイタリア語翻訳には、このくだりはない。

 フランシスコ前教皇の急逝後、新教皇がコンクラーベで素早く決まったのは、吉報のはずだ。しかし、初の米国人教皇とわかると、政治的な分断状態が続く米国内は騒然となった。「レオ14世は、共和党員なのか、民主党員なのか?」と。つまり「トランプ大統領支持か否か?」が注目の的となったわけだ。

(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)

AERA 2025年6月2日号より抜粋

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