
リングの一部保存費用は10年で17億円
吉村知事は万博終了後に取り壊される予定のリングを、
「レガシーとして残すべきだ」
と言い始め、会場南側・ウォータープラザ付近の約600mを保存する案をあげている。そして5月16日に文化庁の文化審議会で1970年大阪万博のシンボル「太陽の塔」が重要文化財に指定される方針が出たことを踏まえて、SNSにこう投稿している。
〈(リングは)このままいけば完全撤去です。「太陽の塔」が重要文化財に指定されます。実は、太陽の塔も当時は撤去予定でした。大屋根リングの価値は高いと思います〉
リングは半年限定なのに350億円もの費用をかけて造られたことで批判を浴びた。これを吉村知事がいう通り約600m保存すると、10年でさらに17億円の費用がかかると万博協会は試算している。そこへユスリカ対策が必要となれば、さらなる費用の上積みもあるはずだ。
また、リングは万博のシンボルであると同時に、「雨よけや日よけになる」とされていた。しかし、万博会場は海に浮かぶ埋立地で風が強く、雨よけ効果がほとんどないことは、記者が実際に会場で実感している。
実際にリングの工事にあたった業者は、こう話す。
「半年限定という耐久性、耐震性でリングは建設されている。海の上なので、天候が悪いと、風雨がきつくて、現在でも一部の木がかなり劣化している。それでなくとも夢洲は埋め立て地ゆえ地盤が悪いので、長期保存となるとさらなる問題が生じる」
そして、リングにユスリカが大量発生し、付着する問題が出てきている。
万博の目玉とされたリングが、“悪評”の目玉になっているようだ。
(編集部・今西憲之)
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