
現在、もっともチケットの取れない噺家・春風亭一之輔さん。その巧みな話芸は舞台の上にとどまらず、紙上でも客を沸かせる。
AERAデジタルで連載中のコラムを集めた最新作『ドグラ・まくら』。本書を「つまらなかったら、朝日新聞出版のせい」「駄文集」「我慢して読め」と評する、本PRも抱腹絶倒の必見物。
そんな一之輔さんの世界をいつでもどこでも味わえる本書。笑ってはいけない場所では、どうか“我慢して”読んでください。
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「我慢して読め」
著者が新刊について自らPRするなんてなんかお尻がむずむずしますが、我慢して書きましょう。
朝日新聞出版から4冊目の単行本となる『ドグラ・まくら』が発売されました。週刊朝日からAERA.dotに引き継がれ(今年4月よりさらにAERA DIGITALに移行)、10年ほど連載している「ああ、私それよく知ってます。」というコラムをまとめたもの。「編集担当者がお題を出し、私がそれにからめてなにか書く」という大雑把な駄文集です。
「駄文」というのは謙遜でなく、読み返してみると自分でも「あちゃー、こりゃないわ」と思うものもけっこうあるのです。
でも書いちゃったものはしようがない。だからそんなときは「私みたいなもんに原稿を依頼するほうが悪い」と思うようにしています。そう、そんな開き直るような人間のコラムを単行本化するほうがどうかしているのです。よって全責任は朝日新聞出版にあるのです。それくらいに思ってないと、しゃあしゃあとシロウトが10年以上も書けません。苦情があるなら築地の朝日新聞社社屋を取り囲んで「責任者、でてこーい!」とシュプレヒコールでもあげていただきたい。わざわざ築地まで行きますか? 面倒でしょ? 電車賃もかかりますし。時間と電車賃が惜しいなら、とりあえず今のところは我慢していただきたい。
我慢の先には可能性があります。昔、「ザ・ガマン」という番組がありましたが、あの番組に出ていた学生たちは苦痛のリミッターを超えると恍惚の表情を浮かべていました。そう、我慢の先にはなにかある。