子どもの成長につながる「ほめ方・叱り方」について、「これだけは」大切にしたいことを教育心理学者の遠藤利彦さんに聞きました。もし今、ほめることや叱ることに迷いがあるのなら、この6つの大前提を意識することできっと変化を感じられるかも……! 子育て情報誌「AERAwithKids 2025年春号」(朝日新聞出版)から紹介します。

MENU 1.ほめる 根拠があること 2.叱る 「部分否定」であること 3.叱る 「基準」を決めておく 4.叱る 「一貫性」をもつこと 5.ほめる・叱る 第三者との関わりがある 6.ほめる ほめすぎない

1.ほめる 根拠があること

 ほめるときは、具体的な「根拠」を添えることが重要です。

「根拠のあるほめこそ、成長につながります。『こういうところがよかった』『こんなふうにがんばったからできたんだね』という具合に根拠を伴わせることで、子ども自身が気づかなかった『できた理由』を教えてあげることもできます。

 また、たとえ結果が伴わない場合も、そのプロセスや努力に目を向けて称賛して、認めることもとても大切です。どうしても結果に目がいきがちですが、子どもが実際に行動を起こして、一歩でも二歩でも進んだことをしっかりほめてあげたいですね」(遠藤さん)

2.叱る 「部分否定」であること

 頭にきたときはつい、その行動のすべてを否定したくなりますが、グッとこらえて。

「叱るときは、『あなたのことは大好き』ということが大前提なのです。そのうえで『でも、今のこれはだめだよね』という“部分否定”であること。『お母さん、もうあなたのこと嫌いになっちゃった』などの全否定型の叱り方は、子どものためになることはありません」

 そこで、日ごろから「あなたは大切な存在だ」ということをさまざまなかたちで伝えておくことを、遠藤さんはすすめます。「自分が大切にされていることを理解していれば、子どもは『今、自分はこのことについて怒られているんだ』とすぐにわかるのです」

3.叱る 「基準」を決めておく

「わが家では、これはNG」という具合に、叱る基準をまず夫婦でしっかりと話し合っておくことがおすすめです。

「『このような場合、お母さん、お父さんは叱ります』というものです。それぞれの親御さんによって、なにを叱るべきかという考え方や基準は異なるでしょう。でも、夫婦の基準が一致していることが大切です。そして、これを子どもとも話し合い、共有しておきましょう。これが決まっていると、子どもも叱られたときに納得しやすいのです」

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AERA with Kids編集部
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