「ほめる」「叱る」ことは、子どもにどんな影響を与えるのでしょう。「ほめる」「叱る」の“そもそも”の意義を教育心理学者の遠藤利彦さんに伺いしました。子育て情報「AERAwithKids 2025年春号」(朝日新聞出版)から紹介します。
【図】学力が高い子の家庭に見られる8つの特徴とは?(全8枚)ほめられる、叱られる 両方が子どもを支えます
「ほめる・叱るは『しつけ』の基本中の基本です」と話すのは、教育心理学者の遠藤利彦さんです。
「ここでの『しつけ』とは、マナーや教養とは異なり、子どもが自立して社会に出られるようにサポートしてあげること。そのためにほめる・叱るの両方があってこそ子どもの成長につながると考えていいと思います」(遠藤さん)
ほめるべきとき、叱るべきときに「言葉」にして伝えること。
「それが、子どもたちに自尊心や自己肯定感といった “セルフエスティーム”とよばれる感情を育みます」
1980年代~90年代にかけて、アメリカなどで、子どもたちのセルフエスティームを高めるために、家庭や学校で「ほめる」ことが積極的に行われていた時期があったそう。
「しかしその後、『ただほめる』だけでは必ずしも子どもたちの発達に功を奏さない、という研究者たちによる結論が知られています。ほめるだけが、子どもたちの幸福感や、実際の意味での適応性に寄与するものでは決してなかったのです」
成長につながる「ほめる」「叱る」とは?
では、どんな「ほめる・叱る」が成長につながるのでしょう。
◯「ほめる」で育つもの
・自尊感情
自分や他者からの評価などをもとに、自分のことを価値のある存在としてポジティブにとらえる感覚。
・自己効力感
「自分ならやれる」「きっとできる」と自分を信じる気持ち。この感情が高いと、チャレンジにも意欲的。
・自己肯定感
自分の好きな面や嫌いな面、失敗や挫折などもふくめた、ありのままの自分を肯定的に受け入れる感覚。