4.叱る 「一貫性」をもつこと

 ある時は叱られたのに、また別の日は同じことをしても大目に見てもらえた。

「こんなふうに叱り方にブレがあると、子どもに効果をもたらさないといわれています。気分などで、叱るポイントを変更しないこと。先ほどお話ししたように、わが家の基準を決めたのならなおのことです。そうしないと、子どもは大人の言葉をなかなか信頼できなくなってしまいます。

 また、ブレないことで、子どもに『お母さんは、これは絶対だめなんだ』『お母さんとお父さんの考えはこれなんだ』と子どもに伝えることができるのです」

5.ほめる・叱る 第三者との関わりがある

 ほめられたり叱られたりすることは、親と親以外の大人からとでは、その効果はまた全然異なります。

「学校の先生や習い事……。子どもは、複数の大人との関係で成長していくものです。親御さん以外の大人は、またちがった視点、基準で子どもの行動を判断、評価します。たとえば、食後に食器を下げるなど、その家庭では『あたりまえ』となっている場面も、『家庭の外』から見てほめる部分としてクローズアップされることもあるのです。

 外の大人からほめられる、叱られることで、子どもは『自分にはこういうところがあるんだ』と、家庭ではなかなか経験できない形の『自己認識』ができます」

6.ほめる ほめすぎない

 むやみやたらに全肯定したり、根拠のない称賛をすることは、ほめ方のNGスタイル。

「ほめすぎることは、子どもに対していい影響はないといわれます。大切なのは、ほめるべきときにちゃんとほめること。根拠のないほめを続けていると、子どもは『根拠のない自尊心』、いわゆる空の自尊心を抱くことになってしまいます。

 さらに、ほめられ続けていると、子どもは『いつもできる子でいなくてはいけない』『賢く見せないといけない』といった気持ちが強まり、新しいことや慣れないことへのチャレンジも失敗を恐れるように。チャレンジは、どんどん経験させてあげたいところです」

(取材・文/AERA with Kids 編集部)

子どもを「ほめる・叱る」前に重要なのは“親子関係” 親野智可等先生がすすめる良好な関係を築く“3つ”のこととは
AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2025年 春号 [雑誌]

朝日新聞出版

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2025年 春号 [雑誌]
著者 開く閉じる
AERA with Kids編集部
AERA with Kids編集部
1 2