「コジ10 小島秀夫の『最高の10時にしよう』」(TBSラジオ、月曜22:00-22:55)。「メタルギア」シリーズや「DEATH STRANDING」を手がけ、ビデオゲーム界のアカデミー賞とも呼ばれる「D.I.C.E. Awards 2016」で殿堂入りするなど数々の世界的な賞に輝いてきたゲームクリエイターの小島秀夫さんが、ラジオ育ちならではの自由なトークを展開(写真:TBSラジオ提供)

「ちゃんとおもしろい番組もあって、聴いてる人たちもいる。そのうえで、世の中とアジャストするにはどうしたらいいか。それを試行錯誤しているのが、今のラジオと言えますね」

 そう話すのは、『いつものラジオ リスナーに聞いた16の話』(本の雑誌社)、『深夜のラジオっ子』(筑摩書房)など、ラジオに関する著書も多いライターの村上謙三久さんだ。

 ラジオの深夜放送が始まり、同時にテレビも盛り上がりを見せ始めた1960年代後半から、「すでにラジオはピンチと言われていたんですよね」と、村上さん。

「『今ラジオがおもしろい』というラジオ本のキャッチコピーを見て、『今じゃなくて、ずっとおもしろいだろう』と突っ込んでいた芸人さんがいましたが、ラジオはそのピンチから半世紀以上、ちゃんとおもしろい番組を作り続けて、リスナーを引きつけてきた。それも時代とともに変化するのが上手なメディアだと思ってます」

 ポッドキャストやradikoなどのタイムシフト聴取が広がって、いつでもラジオ番組を聴けるようになったのはもうひとつの変化。またひとりで聴くのが普通だった個人的なツールから、コミュニケーションツールへ変わっていったことも、ラジオの大きな変化だ。

「深夜、ラジオを聴いてさみしさを紛らわせていたリスナーが多い時代もありました。でも今はリスナー同士がハッシュタグでつながるコミュニティーも、ラジオの大きな魅力のひとつになりつつある。流れ去っていくはずのものが、流れ去らなくなったんです」(同)

「SCALP D presents 那須川天心のかんきもラジオ」(TBSラジオ、火曜22:00-22:55)(写真)、「佐倉綾音 論理×ロンリー」(同、水曜22:00-22:55)は佐倉さんが安住紳一郎さんの代打を務めた際、「誰か知らなかったけど、この人面白い!」という声がたくさん寄せられ、「その後も幾つかの番組にゲスト出演した際は必ずヒットを飛ばす活躍ぶりでこの4月改編の目玉となる存在になりました」(TBSラジオ広報)(写真:TBSラジオ提供)

人の素に触れられる

 かつてはがきの投稿などで感じていたほかのリスナーの存在は、SNSのコミュニティーに参加することでさらに鮮明に。そこでは、かつてははがき職人と呼ばれていた番組参加型のリスナーが、インフルエンサー的な存在になっているそうだ。

 こうして魅力の幅が広がったラジオ。村上さんご自身にとってのラジオの魅力を聞いてみた。

次のページ イベントも大人気