神村学園の早瀬朔
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 3月下旬から全国各地で行われている高校野球の春季大会。春、夏の甲子園大会には直接繋がらないが、夏の地方大会のシード権獲得にかかわる大会であり、冬の間に台頭してきた選手や4月に入学した新入生の力を試す場ともなっている。またプロ入りを目指す選手にとっても大きなアピールの場であることは間違いない。今回はここまで行われた大会で特に目立ったドラフト候補についてピックアップして紹介したいと思う。

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 まず最も早く地区大会が終了した九州で目立ったのが神村学園の早瀬朔(投手)と今岡拓夢(遊撃手)の2人だ。

 早瀬は1年秋から投手陣の一角に定着。昨年夏の甲子園では岡山学芸館戦で先発を任されて1失点完投勝利をおさめるなど活躍したが、当時はまだまだ体が細く、ストレートの大半は130キロ台だった。この春は股関節を痛めていた影響で出遅れたものの、冬の間に明らかに体が大きくなり、それに比例するようにボールのスピードもアップ。ストレートはコンスタントに145キロを超えるようになり、九州大会決勝の西日本短大付戦ではリリーフで4回をパーフェクト、4奪三振という圧巻の投球でチームを優勝に導いた。185cmの長身で長いリーチを生かした豪快な腕の振りは迫力十分。指先の感覚も良く、コントロールが安定しているのも持ち味だ。出力の高さは全国でもトップクラスであり、夏に向けて状態を上げていけば高い順位でのプロ入りも見えてくるだろう。

 一方の今岡は1年夏から3季連続で甲子園に出場。昨年夏も3番打者として打線を牽引している。この春の九州大会でも初戦の壱岐戦で先頭打者ホームランを放つなど、攻守に存在感を示した。180cm、82kgという数字以上に打席で大きく見え、軽く振っているようでもヘッドが走り、飛距離が出るのが持ち味。パワーも光るが決して力任せではなく、センター中心に打てるのも魅力だ。ショートの守備も昨年と比べて明らかにスピード感がアップしており、大型でもフットワークに軽さを感じる。少し送球が不安定なところは課題だが、地肩の強さも申し分ない。大型で長打力もあるショートはプロから高く評価されることが多いだけに、リストアップしている球団も多いはずだ。

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