質問の答えはこちら
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「企業の強み・思い」と「生活者の本音」を重ねていくと、そこには必ず「答え」があります。いい商品・サービスをつくれば必ず売れるわけではありません。たった1つの図を使って、問題を解決する力を身につけていきましょう。新刊『問題解決ドリル 世界一シンプルな思考トレーニング』より、いすみ鉄道のケースを紹介します。

 本連載は、Q&A方式で展開します。質問、ヒント、答え、重ねる技術、企業の強み・思い、生活者の本音、重なりの発見の解説を順に掲載。

「企業の強み・思い」――自社では気づいていない独自性やポテンシャルを発見しましょう。また、社内の常識が邪魔をしてやりたいことができていない本来の思いを再発見することが大切です。
「生活者の本音」――生活者は言葉にしていないだけで、実はまだ満たされていない欲求があります。その不安や不満を発見しましょう。

 上記をたよりに、質問からそれぞれを考えてみてください。2つを重ねていくことで、答えが導かれます。求められる答えは、2ページ目冒頭の画像をクリックすれば表示され、問題解決のポイントをあわせて読むと、より理解が深まります。

●質問

 東急電鉄や小田急電鉄のように利益を出している私鉄は少なく、全国のローカル鉄道は少子高齢化と過疎化の波に襲われ、廃業に追い込まれています。2000年以降、廃線となったローカル線は38路線にも及びます(2016年4月現在、国土交通省)。

 千葉県のローカル線「いすみ鉄道」も同様に赤字続きで、存続が危ぶまれていましたが、わずか数年で経営が改善されつつあります。

 なんと週末には、近隣住民ではなく、30~40代の女性も多く観光に来ています。何もない田舎のローカル線に、いったいなぜ若い人たちが訪れるようになったのでしょうか?

●ヒント

 せっかく週末に旅行に行っても、かえって混んでいたなんてことも……

→答えは、写真2です。

●重ねる技術:「よそ者視点」で考える

 同じ業界や会社に長くいると、付き合う人間も近しい人ばかりになり、企業の論理が強く働いてしまいます。外から見ると、「えっ」と思うことも、社内にいると当たり前になってしまうことも。この「よそ者視点」の欠如が、商品・サービスを提供するときにズレを生む原因となります。

 そうはいっても、毎日同じ環境にいると、考えが凝り固まってしまい、自分が主観的になりすぎていることもわからなくなってしまうものです。

 そこで重要になるのが、「よそ者視点」で考える技術です。優れたマーケターは自分の頭のなかに複数の別人格を住まわせていて、「その人だったらどう言うかなあ」とシミュレーションすることがあります。

 いちばん簡単なのは、頭のなかに母親を住まわせること。ITにもそんなに強くないし、難しいことを言ってもわからない母親に理解してもらえるかという視点です。

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