大口径望遠ズームの新モデルも電磁絞りに
ニコンの大三元、望遠ズームレンズが約7年ぶりにリニューアルされた。光学性能はもちろん、機能や操作性などを全面的に刷新した新時代ズームとしての登場である。
わかりやすい進化点としてまず、前モデルのAF-S NIKKOR70-20mmf/2.8GED VR IIより110グラムの軽量化を達成していることがあげられる。この高い光学性能と軽量化の両立は、レンズの名称にFLとして入っている蛍石をレンズ先端部に配置しているため。カメラ装着時にレンズ先端が下がるのが低減されたこともあり、取り回しがよくなり、結果的に110グラムという数字以上の効果を感じることができた。また、ニッコールレンズとして初めてうたわれる高い防塵・防滴性能がある。ハードな撮影条件での安心感が高くなっていることも好印象だ。
フォーカスリングがボディー側に、ズームリングがレンズ先端側になったのも大きな変化。前モデルでは配置が逆だったので、かなり思い切った変更である。しかし、この配置であれば頻繁なズーム操作をしながらレンズ先端部を保持して構えることができ、微妙なピントワークが必要となる近接撮影には重心の安定した手前側でフォーカスリングを操作できる。従来の配置も悪くないが、AF主体で使う現代では、こちらが正解なのではないだろうか。手ブレ補正(VR)にも手が加えられていて、連写時のファインダー像が自然になるSPORTモードを新搭載している。この4段分の補正効果へと相まって、操作性と利便性はすこぶる良好に進化したといえる。
もちろん光学性能も前モデルより向上。前述の蛍石のほか、6枚のEDガラスと1枚の高屈折率レンズが使われており、色収差や諸収差の発生などはほぼ皆無。前モデルに比べ全体的に解像性能がアップするとともに、画面中央部と周辺部の画質の差が少なくなっている。
今回のリニューアルは、高画素化が進むデジタル一眼レフへの対応という面もあってのことだろう。電磁絞りを採用したEタイプのレンズなので使用できるカメラボディーは限られる。フィルムカメラはもちろんデジタルカメラでも使えないカメラボディーがある。しかし、このレンズの出来栄えを考えると、ニコンはさらに高画素で高機能なボディーを準備しているのではないかと期待したくなる。
◆曽根原 昇
●焦点距離・F値:70~200ミリ・F2.8●レンズ構成:18群22枚(EDガラス6枚、蛍石1枚、高屈折率ガラス1枚)●最短撮影距離:1.1メートル●最大撮影倍率:0.21倍●画角:34°20′~12°20′●フィルター径:φ77ミリ●大きさ・重さ:φ約88.5×202.5ミリ・約1430グラム●価格:35万9100円(実売32万3190円)●URL:http://www.nikon-image.com/