まるやま・りゅうへい/1983年生まれ、京都府出身。SUPER EIGHTメンバー。俳優としても活躍し、ドラマ、舞台など出演多数。5月16日、8年ぶりに主演を務める映画「金子差入店」公開(写真:篠塚ようこ)

「お金=豊か」ではない

 本作はまた、罪を犯してしまった人を描く作品でもある。監督は、「昨今のセカンドチャンスに寛容になれない世間の風潮に一石投じられるのでは?とも思った」と語っているが、丸山にもセカンドチャンスについて考えることはあるかと問うと、即座に「あるよ!」と返ってきた。

「いまのメディアやSNSの叩き方って、過ちに対して、もう社会から抹消されるような感じじゃないですか。ちょっと、優しい世界忘れてません?みたいな気持ちになる。例えば、職失ったって蓄えがあればいいでしょ、って思う人もいるかもしれないけど、お金があるから豊かってわけじゃない。働くって、生き甲斐なんですよ。お金以上に。どんな職業も、誰かに求められて、誰かの役に立つっていうことだから、それをこの先ずっと奪われるって……そういうことも、この映画が考える機会になったらいいですね」

 この作品を通して、自分の人生を振り返って、大切なものを見つけてもらえると思う、とも語る。「自分の人生にも影響があった」と言うが、丸山が見つけた大事な何かとは?

「家族も、会社もそうですね。特にグループは、家族以上に一緒にいるので。

 改めて思ったのは、肉親であれ、家族よりも一緒にいる人間であれ、思いやりを持った距離感が大事なのかなって。

 家族だから話せないことってあるじゃないですか。逃げちゃいけないこととして、身につまされる部分もあって、この作品が仕上がったあと、家族に対してちょっと行動を起こしてみたりもしました。

 そういうヒントもたくさん詰まっていると思うし、感動のヒューマンドラマっていう線で、家族の物語としても見ていただけるし、単純にサスペンスとして見ていただいてもいい。間口はすごく広い作品ですし、みなさんがどんなふうにこの作品を持ち帰られるのか、とても楽しみです」

(編集部・伏見美雪)

AERA 2025年5月5日-5月12日合併号より抜粋

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