その上で、今回の警備対応に全く課題を感じなかったわけではない、と佐々木さんは言う。

 木村容疑者は犯行後、すぐ近くにいた地元の漁業者に取り押さえられた。この際、木村容疑者の手には別のパイプ爆弾などが握られていた。直後に容疑者を取り押さえられていなければ2発目が投げられていた可能性は高かった。その意味でも、瞬時に身柄確保に動いた人がいたことと、SPもすぐに加わったのは良かった。佐々木さんが課題を感じたのはその後だ。

「容疑者に覆いかぶさる際、リュックの中に爆発物が入っていることも念頭に置き、リュックはすぐに容疑者から引き離すべきだったと思います」

 リュックサックには爆発物とみられる複数の筒が残されていたことも分かっている。

 佐々木さんはパイプ爆弾が投げられた後の聴衆の行動にも警鐘を鳴らす。

「私服のSPが後ろに下がるよう呼び掛けていましたが、中にはスマホで撮影する人もいました。爆発規模が大きければ負傷者がさらに増えたことも予想されます。これは警備の問題というよりも、日本人の危機管理意識の低さが反映されていると思います」

 その気になれば誰もがネットの情報をもとに銃や爆発物を作れる時代。これまでとは異なる個々の危機管理能力が求められている。

(編集部・渡辺豪)

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