
先週に多く読まれた記事の「見逃し配信」です。ぜひ御覧ください(この記事は「AERA DIGITAL」で2025年4月21日に配信した内容の再配信です。肩書や情報などは当時のまま)。
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元朝日新聞記者でアフロヘアーがトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。
今回ルワンダに行ったのは、自分が寄付している国際NGOの支援地域を実際に見たかったからで、中でも、何度か手紙のやり取りをした10歳のナオミちゃんと会うのが最大のイベントであった。ナオミちゃんはかなりの筆まめで、私が何を書いて良いのかわからずフーフー書いた手紙にほぼ最速で返事をくれる。だが彼女も私と同様何を書いて良いのやら困っているようで、「手紙が届いて嬉しいです」「勉強を頑張っています」「学校で友達と遊ぶのが楽しいです」など毎度似た文面。そう我らは「共通の話題が何か」ってことが、お互いわからないのである。
なので会いに行く意味があるわけなんだが、よく考えたらそれはかなりの重圧でもあった。会ってすぐ共通の話題が見つかる保証などない。年齢の壁もある。言葉の壁もある。考えれば考えるほど間が持つ気がしない。
NGOからは、高価ではないお土産を持っていくことを推奨されていた。最初はモノで歓心を買うようで抵抗感もあったが、よく考えたら、お土産があれば少しは間を持たせることができる。そうだよモノをあげるのも一つのコミュニケーション! さて、何を持っていくか。

これがまた難問である。相手のことがわからないから会いにいくわけで、ってことは当然、何をあげたら喜ばれるのかもさっぱりわからない。文房具や服やかばん、一緒に遊べるものが良いとのことだったが、高価なものも良くないけれど贈り物なんだからそれなりに特別感のあるものにすべきようにも思える。悩んだ挙げ句、洒落た色鉛筆とスケッチブックを買ってナオミちゃんの写真と桜の花びらを貼ってカスタマイズし、父のTシャツと友人にもらった大きなバッジを使って子供シャツを手作り、さらに、知人がくれたアフリカっぽい雰囲気の可愛いカバンを持っていくことに。さらに書道体験をしてもらおうと筆と紙と墨汁を持参。空港に行く途中で無印のノートと鉛筆も買う。
果たして私の渾身の贈り物は受けたのか?(つづく)
※AERA 2025年4月21日号